魔法薬学の授業も終わり、次の授業まで1時間以上も時間が空いてしまった。せっかく天気もいいことだし、湖の近くで本でも読もうと珍しく人気のない中庭を突っ切っていたときだった。



「スニベリー!」
「…」
「無視しないでよ」
「、離せ」



どこからともなくポッターが現れたと思ったら、いきなりローブの上から左手が掴まれた。

なんだ。じくじくする。ポッターに触れられたところが暖かくなっていくこの感覚は、なんだ。



「ねえ、さっきの授業で左手怪我してただろ」
「……お前には関係ない」
「否定しないんだね」
「ふん。隠すほどのものでもないからな」



ふうん、と興味があるのかないのかいまいち分からないような返事が聞こえた。と、思ったら、再度、思い切り腕を掴まれた。



「痛…っ!」
「はは、やっぱり痛いんじゃないか」
「これはお前の馬鹿力のせいだ!」
「嘘吐き」
「なっ、」



思い切り腕を掴まれたと思ったら、次は袖のシャツを捲られた。ちょうど僕の怪我が見えるところまで。

相変わらず、ポッターが僕に触れているところは暖かい。



「傷の痕、残るの?」
「さあな。まあ、これくらいなら残らないだろう」
「痛い?」
「だから痛くないと、」



言っているだろう。

そう言おうと思ったのに、ポッターのそれに口を塞がれてしまい結局言えずに終わった。



「っ、場所を弁えろ」
「頼むから、」
「おい、」
「頼むから僕の前では我慢しないでよ、セブルス」



うるさいぞポッター。


(じく、)



「何で痛みを隠そうとするんだよ」



いい加減腕を離せ。


(じくじく)



「みんなの前でならいいさ。でも僕だけの前ではやめてくれよ」



僕の腕を強く掴みすぎだ。痛い。

ああ、そういえば僕は本が読みたかったんだった。早く湖まで行きたい。



「だって僕たち恋人同士じゃないか」



(じくじくじくじく)



とりあえず、



「ジェームズ、」



いたい。





▼付き合ってるのに頼ってくれないことに対して不安になるジェームズと甘え方がわからないセブルス



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