※最終回後
バーナビーはキッチンから聞こえる音で目を覚ました。
いつの間に寝てしまっていたのだろう。ベッドではなく椅子に座って寝ていたせいか、体の節々が痛んだ。首を回し、軽く伸びをしながらキッチンへと向かう。
キッチンに近付くと料理の匂いが強くなっていった。覚えがあるそれは恐らく、炒飯。
「おっ、目ェ覚めたか?」
「ええ。すみません、何だか眠ってしまっていたみたいで」
「はは、きっと疲れてたんだろ」
虎徹はたまにこうやってバーナビーの家にご飯を作りに来る。彼の食生活が偏りすぎているから、と世話を焼いているのだ。
どうやら会話を交わしているうちに炒飯はできたらしく、気付いたときには二人分の皿に盛り付けられていた。
「バニーちゃんこれ運んで…っと、どうした?」
後ろから虎徹の腰に回された色白の腕は紛れもなくバーナビーのものだった。こうされるのは珍しいことではないが、どうしたのだろう、と顔にこそ出ていないものの、虎徹は少し驚いていた。
「虎徹さん、」
「ん?」
虎徹の手が、自身の腰に回されているバーナビーのそれと重なった。バーナビーはその手を離すまいと、自分より少し浅黒い肌の指と絡めた。
「まだ寝惚けてんのか?」
「違いますよ。おじさんじゃあるまいし…」
虎徹の肩口にバーナビーの顔が埋められる。そのせいでバーナビーの癖っ毛が虎徹の首をくすぐり、少し落ち着かないようだった。
(虎徹さんは能力が消えてもヒーローを続けると言った。ならば僕はどんなことがあってもその隣に立ち続けよう。
そして、幕が下りるその時がきたら、二人でゆっくり眠りたい。)
▼バーナビーが虎徹を愛するということは、見返りを求めないということ。いずれ幕が下りる時には手を繋ぎながら共に眠りにつくことでしょう。(診断メーカー/愛を育んでいったー)