「仁王君」
「んー」
「何をやってらっしゃるのです」
そう言って上から覗き込む柳生の顔色は窓から差し込んできている日差しが眼鏡を反射していて窺えなかったが、声色からしてたぶん怒ってる。
「何って…涼んでる?」
「部室の床で寝転がるなんてはしたないですよ」
「はしたないて、」
「それと」
痕、見えてますよ。
「あー…」
「誰と、なんて野暮なことは聞きませんが暑い暑いと言いながらもそんなことができるほどの体力があるのでしたら是非私のお相手もして欲しいくらいですね」
柳生が饒舌になるのは怒っているサイン。こういうときは変に抵抗するよりも流された方がいい。
このままだと制服に皺がつくとは思ったが、まあ、いいか。
とりあえず俺に跨がり、首筋に顔を埋めてくる柳生の背中に手を回した。
このまま融けてしまえたらどんなに楽だろうか。
「(まあそんなことできるはずもないんじゃけど)」
「このまま溶けてしまえたらいいのに」
「やぎゅ、」
馬鹿じゃなあ。なしてこんな男を好きになったんじゃ。
(それは自身に言ったのか、それとも柳生に言ったのか)
▼すれ違う二人が好きです。ラブラブしてるのも好きですが!あと仁王がビッチですみません
漢字の説明(補足)
融ける:液状になること
溶ける:液体の中に溶け込むこと
仁王は一つに融け合えれば、柳生は仁王の中に溶け込めたらと思っています