ぽつぽつと窓に水滴が当たる音が聞こえ、握っていたシャーペンを一旦机に置いて外を見た。
「雨か、」
ぽつりと零した言葉に大した意味はなかった。ふと無意識のうちに自然に漏れた――そう、それはため息のようなものだった。
「真ちゃん雨嫌い?」
「…どちらでもないのだよ」
そんな俺のため息程度の独り言にまでいちいち返事をするなんて、つくづく高尾は変な奴だと思っていたがそういえばこいつが俺といるときに俺の発言を取りこぼしたことはなかったと気付く。
「そっかー。俺は結構好きだぜ」
雨で悩むようなくせっ毛ではないし雨の匂いも地味に好きだし傘差すのも嫌いじゃねえしさ、と一人で勝手に喋りだした高尾の集中力は恐らくもう途切れている。
そもそも勉強会をやろうと言い出したのは珍しく高尾の方だったはずなのに。
「雨かあ」
高尾は先ほどの俺のように窓を見つめて呟いた。
「飯食いに行かね?」
「は?」
「はい真ちゃん仕度して!」
「なっ…意味がわからないのだよ!」
「だーかーらー、雨が好きな高尾くんとデートしましょ!」
ちょっと雨男に 付き合ってくれませんか
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