log | ナノ
リュカが消えた。

リュカは半年前に公園でカラスに襲われていたところを偶然助けた黒猫だ。珍しい瞳の色をした細身の猫で、それ以来私の部屋に住みついている。
「黒猫を見ませんでした?空色の瞳で首に金色の首輪をしているんです」
通りすがりの人達に訊いてみるけれど皆そろって首を横に振るばかりで。情報を得られないまま肩を落としてアパートメントに戻ると、庭で芝刈りをしていた大家さんに会った。足元にラブラドールレトリバーのハルもいる。
「まだ見つからないのか?」
私に気づくと芝刈り機のスイッチを切って心配そうに訊いてくる。私が頷くと大家さんはそうかと言ってため息をついた。



淡い期待を抱きながらドアを開けても、やっぱりそこにリュカの姿はなかった。私はドアを背にずるずると座り込む。

「……どこ行っちゃったの、リュカ」
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -