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「にんげんになれる方法を教えてあげようか」
銀色をしたヤモリが言った。
「君はだれ?」
「私はユアン」
「ユアン、本当に俺はにんげんになれるの?どうすればにんげんになれるの?」
俺はすがる気持ちでユアンに訊いた。ユアンの蒼い瞳に俺の必死な顔が映る。
「十三の月の夜から何も飲まず食べず過ごして、99日目の夜に月の涙を飲むんだ。そうしたら貴方の願いは叶うよ」
「月の涙?」
「そう月の涙。運がよければ月が泣いてくれる」
ユアンの体が夜空に透け始める。
「ああ、時間切れだ」
ユアンは北極星を見上げた。
「ちょっと待って!君は何者なの?それで俺は本当ににんげんになれるの?」
輪郭だけになってしまったユアンの蒼い瞳がくるりと回る。
「信じるか信じないかは貴方が決めることだよ」
俺は慌てて前足を出す。だけどそれは虚しく空を切って地面に落ちた。



俺は眠る君の顔を見つめる。
隣の物知り犬のハルに訊いたら明日の晩が十三夜だと教えてくれた。
俺は君の頬に鼻を寄せた。
「必ず帰ってくるから」


待ってて。
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