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77.サボリ決定

77.サボリ決定

「こういう絶妙に温い風が吹く日は動き回るべきではないと思うんだ。掃除なんてもっての他だろ」

よし寝ようそうしよう。
そう言って柳はハタキをぽいと放り投げ、頭に巻いた埃避けのバンダナを取ると、のそのそ縁側まで移動してごろりと寝転がった。
4月17日、本日は小春日和である。学生も社会人もうっかり転た寝をしてしまうようなぽかぽかとした気候に、自室の掃除をしようとしていた柳は早々に方針を転換した。

やればできるのにやらない典型的なだめんず、しかし女性からは引く手数多のイケメンという全国の非リア充に爆殺されそうなステータスの持ち主である。



そんな自堕落思考持ちの縁側で寝転がる柳の頭にふと影がかかる。気付いた柳が顔を上げると、右手にハタキ、左手に掃除機を装備した妹が仁王立ちしていた。

「部屋が本で溢れかえって足の踏み場もないどころか床が抜けそうだから今日こそは掃除するって言ってましたよね、開始5分で何で縁側に寝てるんですか」

イケメンと言えど兄、なによりだめんずな柳に間違っても惑わされたりしない雲居は、掃除機を置くと溜息を吐いた。

「俺は悪くない、悪いのはこの天気だ」
「どう見ても兄さんが悪いです」

のんべんだらりと返された答えになっていない返答を素早くぶった斬り、呆れ返った顔でさあさあ起きて掃除しろと肩を揺する。
勿論雲居も手伝う所存である。というか柳一人に任せていたらいつまでたっても終わらない。片付けの最中に読書を始めるのは目に見えているのだ。


揺すっても急かしても動く気配のない兄の姿を見て雲居は少し泣きたくなった。
……これはちょっと強行策に出るべきだろうか、すでにぐだりきっている気がする。


雲居は一度立ち上がり、わざとらしく溜息を吐くと、口を開いた。

「一纏めにしてブックオフに持って行きますよ」
「さあ頑張ろうか」




サボリは許されなかった(^ω^)



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