中・短編 | ナノ



なんと幸村はついに由仁の家に呼ばれた。経緯はそれはもうびっくりするほど簡単だ。一緒に帰っている最中にひょんなことから由仁が最近買ったCDの話になり、なんとなく自分も聞いてみたいなと言ったらそこからとんとんと話が進んでいつの間にか由仁の家の玄関の前に立っていた。余りにも唐突だったために心の準備もなにもなく、おかえりーと出迎えてくれた由仁の母上に吃りまくった挨拶をした後に由仁の部屋で正座している。

由仁は部屋に鞄を置くとすぐに少しだけ待っててねと言って出ていった。きっとお菓子やらお茶やらを取りに行ったのだと思う。そんなに気を使ってくれなくてもいいのにとは思うけれど、彼女がそうやってああだこうだと自分のことを考えてくれるのは嬉しかった。
ただ、こう、なんというか、好いた女子の部屋に一人きりという状況は精神的にクるものがある。己の他には誰もいないと言うのにちらちらと視線だけを巡らせて、ああそんな、不躾に女子の部屋を見るなど言語道断だと思えども好奇心は抑えられない。ふわりとどこからか香る甘くていいにおいはなんなのだ、女子の部屋というのは皆このようにいい香りがするものなのか。ドッキンドッキンと好き勝手に暴れまくる心臓が情けなくて深呼吸をしてみるも、甘い香りを肺の中いっぱいに吸ってしまって、まるで由仁に犯されているような気になって半分くらい勃起した。
丁度その時お盆の上にオレンジジュースとバームクーヘンを載せた由仁が帰ってきて、手伝おうかと思ったけれど、凶暴化したイチモツがバレてしまうかもしれないと思うと下手に動けず礼儀正しく正座をしていた。くそう。





頑張れ童貞のおれ!





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(140218)




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