神楽が懐から、ボイスレコーダーを取り出す。
――ボイスレコーダー?
かちり。
『臨也の周りでゴタゴタがあったからその後片付けみたいな?
証拠隠滅ぅ?
あいつも犯罪ギリギリのことしてっからなー……』
かちり。
ボイスレコーダーから流れてきたのは紛れもない、俺の声だった。
状況を判断するのに、少し時間がかかって、――急激に理解した。
“犯罪ギリギリ”のことを“臨也”がした。
このボイスレコーダーは……臨也と凉梨の、犯罪ギリギリの証拠。
つまり――
神倉神楽に、弱みを握られた。
「おい――やばいんじゃないのか?刃」
『ああ。かなりやべーぞこりゃ』
とりあえず、ごまかせるだけごまかしてみるか。
『いやいや神楽さん。
ゴタゴタってのは部屋がゴタゴタしてるってことでさー。
証拠隠滅ってのはお掃除のことなんだよ?』
「犯罪ギリギリってのは?」
『あいつの部屋の汚さは犯罪級ってことだよ!』
どうだ!!ごまかせたか!?
と三人を見ると
「いやいや無理矢理!」
「無茶だって!」
「苦しいです……」
という顔をしていた。