ニュルニュルとした先走りが赤く染まった尻を濡らす。後孔にソレがあてがわれると、喉がヒュッと乾いた音を鳴らした。

「や、やだ、やだ……やだやだやだ!やだってば、ねえ…!」
「挿れる、挿れるよ、甘楽ちゃんのナカに、ボクの汚いチンポ、いれるよ…!」
「やだぁああああ!やだってば!やだ!やだやだ、やだ!」

喉が枯れるのも、あれほど堪えた涙が溢れるのも構わずに泣き叫ぶ。嫌だ嫌だと吠える俺を尻目に、男は俺の尻たぶを左右にひっぱりながら腰を押し進めた。ミチミチと肉が切れるような音がして、固く熱い陰茎が捻り込まれてくる。

「ぅ、ぐ、ぁ、あ」
「はぁ、はぁ、甘楽ちゃんのケツマンコ、キツキツだぁ…」
「いっ、あ、ひっ」

声にならない叫びをあげる俺とは対照的に、男はズブズブと結合を深めていく。

「うお、おうっ!イイ!イイよ甘楽ちゃん!」

むちゃくちゃに揺さ振って、ゴリゴリと骨を割るように内奥をえぐる。血で滑りがよくなったのか、我が物顔で孔内を突き進む男の陰茎は硬度が衰えることはない。まるで焼いた釘を打ち込まれているような、そんな感覚だった。

地獄だった。
気持ち良いだとかの問題ではなく、痛みしかない時間。地獄としか言い様が無かった。
ただ片方だけが気持ちいい、自慰まがいの行為。俺は開きっぱなしの口からうめき声を時折出すだけだったが、男はそれにさえ興奮するらしく、嬉々として俺の尻たぶをひっぱたいた。

こんな地獄、はやく終わればいい。

慢性化してきた痛みを堪えながらキュウと中を絞めてやると、男は全身をぶるぶると震わせた。

「おぉキツキツ…!ダメだ、もう出るゥ…!」

言うがいなや、中で精液が弾け散る感覚。よっぽど溜め込まれていたのか、射精は恐ろしいほどに長かった。
やがてその全てを出し終わると、男は内壁に最後の一滴までを擦り付けるように陰茎を抜き、満足そうにため息をついた。

「はぁ…甘楽ちゃんに、中出ししちゃったぁ…」

ぬらぬらといやらしく光る自らの陰茎をいとおしむように撫でる男を横目で見る。
不思議と、怒りだとか憎しみだとかいう感情は、あまり沸いてこなかった。憎くないと言えば嘘になるが、それでも、もっと大きな別の感情があった。

悔しい。

こちらが愉しんでやるはずだったのに。あの折原臨也が簡単に一般人に誘拐され、その上、男であるにも拘らずその体を拓かれるなんて。
悔しい。

「……ね」
「え?」

ぽつりと零れた、小さな俺の呟きを拾おうと近付けいてきた男の顔面。脂ぎり、にきびが密集したそこにめがけ、俺はペッと唾を吐き捨てた。
それは、負け惜しみのような、最後の悪あがきだった。

「……死ね」


男は呆然と俺の顔を見つめる。
しばらくそのまま時間は過ぎたが、やがて無造作に俺の頭に手を伸ばした。
わしゃわしゃと掻き回すように頭を撫でながら、唾液を滴らせた男は満足そうに笑う。

甘楽ちゃんはイケナイ子だね。

男は歌うようにそう言って、俺の腰を掴み抱き上げる。どろりとした液体が太ももをつたうのを心底愉しそうに眺めて、かさついた唇を舌でなめながら言った。

「また、おしりぺんぺん、されたいの?」



その言葉が耳に届いた刹那、弾けるような痛みが俺を襲った。




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