※暴力あり




なんとも奇妙な感覚だった。
体は確実に熱を帯び、もっと欲しいと新たな熱を求めているのに、背中は流水にさらされているかのように冷たい。
静雄は臨也の体の中で相反するふたつの温度をかきまぜるように、コードのついた器具を乱暴に動かした。

「っ、あ、ンあ…ァ、あッ!」
「……こんな無機物でも感じやがるなんて、臨也くんはとんだ変態だよなァ」

静雄は手に持った器具――はんだごてをグリグリと前立腺に押しあてながら、怯える臨也を見、にまりと口元を歪める。

「ぁ、ア、そこばっか、やだ、あ、あんッ!」
「やだ?こんなダラダラ垂らしといて、そんな事よく言えるなァ、ああ?」
「やだ、やだあ、も、おかしくなぅ…ッあ!」

静雄は、しゃくりあげながらかぶりを振って嫌だと泣き叫ぶ声を気にも止めず、臨也の中をはんだごてでかき混ぜ続けた。


もはや日常と化したセックスに「はんだごて」という名の異分子を持ち出したのは静雄だった。

どこから持ち出してきたのだろうか。はんだ付けに用いるはずのそれを手にした静雄は、まるで宝物を手にした少年のように笑んでいた。抗議する臨也をねじ伏せ、はんだごて――コンセントを差し込んでスイッチを押す、たったそれだけの動作で凶器と化すそれをちらつかせながら静雄は残酷に言った。
「抵抗したら、これで手前の中焼くからな」





「ひんッ!……あぅッ、は、あっ」

簡単に訪れる、死に近い痛み。本能的に感じ取り、恐れているのだろう、臨也の中はキュウキュウと異物を締め付け続けた。

もう支えてなくても大丈夫だろ。
そう小さく呟いた静雄ははんだごてから手を離し、臨也の前髪を掴んで持ち上げた。なまじろい尻に突き刺さったはんだごてがぶるりと震える。いたく異様な光景だったが、静雄は特に気にした様子もなく、むしろ満足そうに笑んだ。

「おいノミ蟲、口でやれ」

何を、などと、聞かなくてもわかっている。
臨也は羞恥に頬を紅潮させ、ぐずぐずと躊躇っていたが、つかまれた前髪をひっぱられ、静雄の股間に無理矢理顔を近付けさせられると、観念したように僅かに目を伏せた。
震える己の足を叱咤しつつ四つんばいで静雄に近付き、チャックを歯に挟んで下に下げる。
鉄の味と、ジー、というかすかな音がして、下着ごしに盛り上がった静雄の自身が現れた。先走りで変色しているそれから漂うにおいに顔をしかめつつも、がくがくと震える手をフローリングから離した、その瞬間、自らを支えきれなくなった臨也は膝からがくりと崩れ落ちた。

その衝撃でだろうか。

「あ、あ゛ッ!…くぅ……」

尻を突き上げるような形で倒れこんだ臨也の尻から、はんだごてが臨也の中をえぐって、ゴトリと音を立てて落ちた。



小さな部屋を静寂が支配する。

静雄は臨也の前髪を解放し、ただ、腸液でてらてらと光るはんだごてを見た。

「……し、シズちゃん、ご、ごめんなさい、俺…あ、あの……抵抗する気はなかったんだよ……?」

慌てて弁解を始める臨也を尻目に、静雄は黙ったまま、緩慢とした動作で立ち上がり、はんだごてにつながるコンセントを差した。

カチリ。




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