だんだん、あんなに嫌がってた地球にも慣れて、打ち解けてくお前。
一緒に過ごした時間は宝物。
少しずつ、優しくなってくお前。
やっぱり素直じゃないから肯定はしない。
ぜったい本気で拒まないお前。
口にはしない本音があるから、甘んじて受け入れているんだろ?

一緒にいるだけで幸せだった。
だから隣にいたし、キスもして、体を繋げた。
くだらない話もした。



存在



枯れ葉が、乾いた音を立てて転がった。
星も見えない曇り空は、肌寒い常闇の風だけを運んでくる。
大きな窓を開け放しにしているカプセルコーポレーションの一室にびゅうと入り込んで、布団の端のシーツを僅かに揺らした。悟空の家とは違って街の中に建っているここは、虫の音も聞こえない。

「ふぅ、……ん、んッ…」

小さくくぐもった声を漏らすベジータの細い腰に腕を回し、ギシリとベッドのスプリングを鳴らしながら押し倒す。
触れている部分が熱い。じわじわと体全体に広がる。
身体のラインが分かる薄い戦闘服の上から、厚く乾いた掌で綺麗に浮き出た背骨をなぞって降りる。身体の前面に滑らせ、無駄のない腹筋を辿って胸元の突起を掠り、首筋へ。産毛を逆立てるようにうなじを撫でて、首元の戦闘服の隙間から手を差し入れる。

「っ、」

ベジータがうっすらと目を開けて、もの言いたげに睨んでくる。

「…どした…?」

どうせまた何か文句を言うのだろうと思って、うすら笑いを浮かべているとますます眉間に皺が寄る。

「ねちっこいんだよ、貴様の動きは…!」
「好き?」
「馬鹿なのか貴様は!?」
「だって、普通にやったらおめぇ、『ケダモノか貴様は!』って怒るだろ?」
「物事には程度ってもんがあっ、あ…ッ」
「ほらァ、感じてんじゃねぇか」

よく伸びる戦闘服が災いして、ベジータの胸元は悟空の手によってすでに片方露出させられている。小さな乳首を指先で摘まんでコロコロと転がしてやると、その頬に朱が差す。

ほら、お前は本気で抵抗しないんだ。
いつだって逃げられる。
いつだって、やろうと思えば、思いっきり吹き飛ばせるだろ?
なのにやらないお前。
抵抗する振りだけして、こうやって抱かれるお前。

「なあ、ほんとは期待してたんだろ、おめぇ。」
「なっ……、何を言ってやがる……!」
「だってほらもう、オラなんもしてねぇのに、ココがこんなん」
「――――ッあ…!」

太股の間で布を内側から押し上げているものを、空いた手の指先でピンと弾く。
途端にビクリとベジータの細い腰が跳ねた。いつまで経っても可愛らしい反応だ。

「やらしい汁で濡れてきてる。」
「余計なこと言うな…!」
「だってホントだぜ?ベジータ…。ぬるぬるだもん、布の上からなのに」
「ひ…ぅあ!…っカカ、なに…っやめ…!」

先端に布を擦りつけるように指先でごしごしと擦ると、ベジータは急に甘い声を出して身を震わせる。
ベッドについた両膝が自然に曲がって、腰が妖しげに浮いてユラユラと揺れる。
ギッ、ギッ、と小さくベッドが鳴って、まだほとんど着衣のままであることで余計今の行為が非日常的であることを浮き彫りにする。

「あー、もっと濡れてきた。染みて青の色が濃くなっちまってる」
「い、ぁん…あぁ…っくうぅ…ッ…」
「腰揺れてんぞ?なぁ…」
「…い、言う、なぁ…ッあ」

布の内側がぬめぬめとベジータのカウパーですっかり濡れ、悟空はそのまま脱がさずに勃起した陰茎を握り込む。

「ア、あっ、あ、あ、」

手の感触とは違い、少しざらつく布が粘液で滑る感覚は予想以上の快楽を生みだしていた。半分開いたような瞳で、ベジータは口で息をしながら、短く吐息のような喘ぎを漏らす。
すっかり快楽の虜になった様子は、いつ見ても心の奥底の征服欲を満たしてくれる。

「イキたいだろ、このまんま。でもダメだかんな。おめぇばっか、ずりぃぞ」
「っ、っ……」

だんだん強く速くしていた手の上下運動を、悟空は突然止めた。
放り出されたベジータが、物足りなそうに見上げてくる。正直、その潤んだ瞳は腰にキたが、その程度で許してやっていたらいつまでも許し続けなければならなくなってしまう。

「オラも楽しませてくれよ」
「…チッ…、注文の多い野郎、だ…っ」

ベジータは快感で力の入りにくい身体を起こして、悟空の青い腰紐を解く。
下半身に身に付けたオレンジ色の胴着を下ろせば、勃起しかけた太い陰茎がそこに存在を主張していた。

「いいんか?」
「何だ、文句でもあるのか」
「いや……」
「じゃあ黙ってそのまま立ち膝になってやがれ!」

黒い陰毛の生えた股間に、ベジータの顔が近づいて、悟空は思わずゴクリと生唾を飲む。
ぺろり、と小さな口から赤い舌が覗いて、裏筋を舐め上げる。
びくっと分かりやすい反応を示す悟空の陰茎に、ベジータはにやりと口角を上げた。

「もし俺の口に出したら二度とやってやらんからな」

こんなマズイものを口に入れてやるんだから、そのくらい我慢しやがれと楽しそうに微笑む姿は、どう見ても淫乱でサディスティックな娼婦のようだ。
白い手袋をしたままの手が、悟空のそれに触れる。がさがさとした感触に少し身体が震えた。
どうやってその口に入るのか、というほど小さな口をめいっぱい開けて、先端を口に含む。
口の粘膜全体を吸いつけるように、舌を絡めて喉の奥まで飲み込まれていけば、それだけで信じられないほど気持ちが良かった。
ゆっくりと顔を動かして抜き差しを始めるベジータに、悟空は快感に耐えるように片目を瞑る。

「う…、イイ、ベジータ…っ」

逆立った黒髪を掴んで、その動きに自らの律動を加える。
一気に喉の奥まで刺さりこんだらしく、ベジータが一瞬苦しそうに顔を歪めた。
それが余計、何だか気持ち良くて、悟空はガンガンと腰を突き入れる。

「うっう゛、う゛ぇっ、ンぅ、ん゛んんっ…!」
「おめぇのクチ、最高…、」

吐き気のせいで生理的に涙が溢れてきた誇り高き王子であるベジータの、いつも暴言ばかり吐く口に自分のグロテスクな肉棒が出入りしている様はどうしようもなく興奮する。
それでも歯を立てないお前。
冷たい振りしてホントは寂しがりのお前。

「うぇ、げほ、げほっ、ッう!」
「ホラ、オラはちゃんと我慢したぞ…」

彼の口から抜いてやると、両手をベッドについて、彼は思いきり咳きこんだ。
それでも吐かなかった意地にむしろ拍手を送りたいほどだ。
悟空はそっと背中をさすってやりながら、「でぇじょうぶか?」とできるだけ優しく甘い声で問いかける。

「…るせぇ…っ、このバカロットが…っげほっ、」
「ごめんな」

少し屈んで、その粘液と唾液に濡れた唇に自分の唇を重ねる。
苦い味がして、しかもそれが自分のだと思うと何とも言えない気持ちになったが、ベジータの機嫌を思うとそのくらい何てことはない。

「あいしてる、ベジータ」

吐息のかかる距離で、視界いっぱいにお互いの顔を映しながらそう呟く。
ベジータは、居心地悪そうに目を逸らして、でも代わりにその両腕が悟空の首に巻きついた。




お前は地球人じゃない。
オラも地球人じゃない。
最後に遺された、たった二人の純粋なる同胞。

それはつまり、お前に求めるのはそういう甘くて穏やかな時間だけじゃない。
お前を選んだのは、ただ抱き締めたいからじゃない。

お前だけが、オラについてこれる。
お前だけが、


お前だけが、


オラを叩きのめせるんだ。めちゃくちゃに。立ち上がれないくらい。
否、オラの息の根を止めてくれるのは、お前しかいないんだ。

限界まで全力で戦って、命のやり取りをして、殺し合いに限りなく近い組手をして。

お前と戦ってるときが一番血が騒ぐ、まるで沸騰するかのように。


多分こんな行為よりずっと、お前を求めてやまない愛の行為。





だって、お前もサイヤ人だ。
それも、強さと誇りを併せ持った、最強の。


お前と居るから、オラは生きてられる。
お前に満たされて、お前の存在に支えられている。


なあ、わかってる?


Follow me, and you can banish me...!




END.






メテオのOP、"超生存者"の英語バージョンの歌詞を勝手に解釈した結果出来上がりました。
戦いの中にこそカカベジがあるのだと思うので、ぜひ書きたいと思っていたネタでした。
若干ではなくかなり脈絡なく意味不明で申し訳ありません。

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カカベジ強化月間様に投稿した小説です。
これ投稿したんかよ!?って感じの内容ですみませ…orz
で、でも、個人的にはこういうのがカカベジの理想だったり、するん、で…す……

ベジータだけじゃないんだ、同族を必要としているのは。




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