線香花火
深く刺さりこんだ肉棒に、局部は悦楽の歓喜と痛みで悲鳴をあげていた。
腰を揺さぶられ、尻尾の痕がシーツに擦れると、ビクンと腰がしなる。
重なりあう荒い吐息が、濃厚なキスに飲み込まれた。
ぎし、ぎし、と二人分の体重にスプリングが規則的に鳴く。
「ん…、ん、ふぅ、あっ…」
すっかり紅潮した顔は、先ほど相手にかけられた白っぽい精液と自らの唾液と涙でぐしゃぐしゃで、それを覆い被さる男が犬のようにぺろりと舐める。
互いの腹の隙間で反り返っていたベジータの陰茎を、悟空の大きな掌が捕らえてゆっくり擦る。
「ひ…!ひゃ、や、やめっカカ…!まだ…っ、まだイキたくな……!」
「そう、簡単にゃ…イかせね…って」
「ん、んっん」
きゅん、と悟空の手と腰の動きに合わせてベジータの中が締まる。
数回の射精のお陰でぐちゅぐちゅと泡立っている結合部を、太く怒張した陰茎が鋭く突き刺す。
互いに快感を貪る、サイヤ人は気持ちいいことに目がない。
両足を大きく開かされ、腰を持ち上げられ、屈辱的な格好で女のように鳴かされても、享受する快楽の前ではどれもこれも些細なことであった。
悟空にさんざんねぶられた乳首が腫れてちくちくと痛む。それでさえ、悦楽に悶える体には快感となってぴりぴりと脳髄を焦がす。
なにやら、片手に紐のような紙製のものを持ってきたのは、数刻前のことであった。
夜を迎えていたもののまだまだ暑く寝苦しいので野原に腰を下ろしていたベジータの横に、突然瞬間移動で現れたオレンジの胴着の男は、にっこりと笑う。
「ベジータ、花火やろうぜ」
「花火だと?」
「ほら、線香花火。チチが、悟天に買ってきたやつの余りだ。」
片手の中のものを得意気に見せてくるので、どうやらそれが線香花火であると分かった。
「フン、くだらん。」
「火ィつけるやつも借りてきた」
「何で貴様とそんなもんやらなきゃならねぇんだ」
「きっとベジータならやったことねぇかなって。」
「やる必要もない」
「まあまあ、そう言わねぇでさぁ」
おめぇの分、と適当に半分くらい渡され、しぶしぶと受けとる。
ライターを持ってきたらしい悟空はしかし、ライターを使ったことがないらしく「これ、どうやんだ?チチはこれで火起こしてたけど…」などとほざいているので、貸してみろくそったれ、とそれを奪った。
「ライターの使い方も知らんのかお前は」
「おっ!すっげぇなベジータ!」
ライターの小さな火に、悟空は自分の線香花火を翳した。
火が移ってオレンジ色に光りだしたそれを、しゃがんだ膝の向こうに垂らしてじっと観察する。
じりじりと小さな音をたてながら、燃えた火薬がゆっくりと丸まってひとつの玉になっていく。
「!」
「お、綺麗だなぁ!」
ぱち、ぱち、と様々な方向に散り始めた細い火花が、二人の頬を照らす。
だんだん速く柔らかく、小さくなっていく火花の中心が、ふわりと吹いた風に、ぽとりと紐から離れて落ちた。
「あーあ、落ちちまったぁ…」
「……ずいぶん早いな。」
「上手くやると落ちねぇんだぞ。おし、もっかいだ!」
「……」
上手くやると。
そう聞いたベジータの闘争心に、じわりと火がつく。ライターをつけてくれと図々しくも頼んでくる悟空に舌打ちしながら、ベジータも自分の線香花火に火をつけた。
勝負事にしてしまったのが運の尽き、同時に火をつけてはジッと黙って、男二人で静かに火花を眺める。「俺の方が長くもった」「オラの玉のほうが大きかった」、ブルマやチチが見たら、自分達の亭主は何て子供っぽいことでムキになっているのだろうと溜息をついたことだろう。
最後の一本になったとき、悟空はベジータと同時にライターで火をつけようとして同じ火の中に並べて線香花火の先を入れた。
「あっ!貴様…!」
「ん?」
「考えてからやりやがれ、くそったれ!」
「何をだ?…あ」
悟空が間抜けな声をあげると、ライターの火に翳した二人の線香花火のオレンジに燃える火薬の玉は、くっついてひとつになってしまう。
大きな玉になって離れなくなったそれは、バチバチと美しい火花を散らし始めた。
「チッ……」
「うわぁ、でっけぇと綺麗だ…」
「………」
しかし、大きく広がる火花も束の間、二人が思わず見入っているうちに、重さに耐えきれず、あっという間にぷちりと紐から離れ、火玉は草の上に落ちて見えなくなった。
「…でっけぇと持たねぇんだなぁ…」
「……。」
一気に暗くなった視界で、隣の男は残念そうに焼け千切れた先を見つめる。
ベジータは、複雑な気分でその燃えかすを眺めた。
二人で居たら、いずれあの線香花火のように――
二人とも堕ちてしまうのだろうか。
「んぁ、あッ、はぁっ…」
突き上げられながら、悟空の真っ黒な瞳との間にあのときの一瞬の美しい火花が散るのが見えるような気がする。
「ベジータ…、…集中しろよ…!」
「んっ…、そう思うなら…ッ、させてみやが、れ、っあ…!」
お前と俺の行く先は破滅なのか。
ただ静かに終わっていくことさえ許されない。
漆を塗り込めたような真夏の闇夜に、小さいながらも美しく火花を飛ばす線香花火。
「なあ、好きだ、好き、ベジータ…!」
「は、んっ、あ、カカぁ…ッうう…!」
直ぐに落ちる運命と分かっていながら、赤く赤く、大きな橙赤色の玉を震わせて火花を散らす、ひとつに溶け合った線香花火。
ベジータは、しがみつく腕を強めた。
このまま、お前に溶けてしまえればいいのに。
end.
いや、線香花火やったんです
綺麗でした
夏の風物詩です
秋の近づいた寒くなりかけた夏の終わりの夜に。
まだ夏を楽しんでいたいのに、短い季節が終わっていくのを象徴するようで。
いいですね、線香花火。
ベジたんが厨臭くなってすみません
エロがクソ温くてすみません。100827
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