一度だけ触れた温もり


唇への感触


困った様に笑って「ごめんな」と離れた一度だけの優しい温もり




咄嗟の事で突き放した


嫌じゃなかったのに
ただ驚いただけで
巧く言葉も出なくて
背中を見送るしかできなかった




拒まなければ
あのまま受け入れて
求めていれば
あの温もりが手に入ったのかもなんて

浮かんでくるのはどうしようもない後悔ばかり


自分らしくもない感傷




「…っ‥」


目の前にすれば込み上げてくる


涙と憤りとどうにもならない腑甲斐なさ


恨むものも居なくて
蝕んでいった病に対するやるせなさ




ただ・ただ胸が痛い




突き放した温もりは欠片も無くて、冷たくて
逞しかった腕は細くなって大好きだったアナタの顔は溢れる涙で見えなくなった



「…伯、符‥様…」


絞りだした声は
情けなく震えて
アナタの字を繰り返す



「っ…伯、符…様ぁっ‥」

後から後から
溢れる涙と絶望感






帰らない




返らない





還らない






アナタの温もりも
笑顔も優しさも
あの日にも





戻りたい・戻れない






何度も頭の中で繰り返し
再生したあの日








捕われてるのは
残されたのは
痛いぐらいの愛しさと唇に残ったアナタの熱







届かない渇望





孵らないアナタ






流れ続ける涙





「…ぅ…伯、符っ‥!」






年甲斐も無く
顔ぐちゃぐちゃになっても目が腫れて凄い顔になっても、明日にはアナタみたいに笑うから






せめて今だけ
大好きだったアナタのために流れる涙をこのままにしておきたい













物凄いマイナーな自覚はあります…石投げないでください(自虐的)孫策大好きなんです…
凌甘凌はもちろん愛してますけど、策は別格。愛しすぎてなかなか自分では書けない崇高な方です‥こんなのもありかなぁと笑って見逃して下さい(弱)



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