宵闇


虫鳴く愁いな月明かり




チリンと響く鈴の音と
艶を含んだ声一つ














「‥う…あっ…やだっ…」


「嫌じゃねぇっつの。こんなに蜜零して…」



スルリと指を絡ませて先端を刺激されれば、とめどなく溢れてくる半透明の液



ペロリと目の前で舐め上げられて自然に顔に熱が籠もる




「…お、れはっ…上がいいって、言ったじゃねぇかっ!」




顔を羞恥で染め上げて
赤く濡れた唇で、何とも色気の無い言葉



「あぁ、お望みどおり上だろ?」



ニヤリ意地悪な笑みを浮かべて下から腰を掴んで揺さ振られた



「ふぁ‥んっ…!」



既に繋がってる部分からどうしようもない快感が背筋をはい上がって



「意味が違う」って文句を言おうとしたのに口から出るのは相手を喜ばせるだけの甘い声




「‥ぁん…っく、ぁ‥っ」



下に仰向けに寝てる状態の凌統の腹に手を突いて


普段よりも奥迄入ってくるお前の寄越す快楽に只々、善がるばかり


「はっ…気持ちいぃかよ?興覇…」


甘く荒い呼吸の問い掛けも深い意味はなくて


その妖麗な笑みで俺の心に取りつくんだ



犯られてる俺より色っぽいその整った全てで




「くっ…ぁ、ん…」



体の中から外から静かに
静かに浸食されて蝕まれ続ける



「‥興覇、自分で腰触れよ…」


「ひ…ぁ…ム、リッ‥!」


下から突き上げられるだけで既に余裕なんてねぇのになんて事要求すんだ…




「ちっ…仕方ねぇなぁ…」


軽く舌打ちされて気付けば繋がったままグルリと身体を反転させられた



…結局身も心も下向きじゃねぇか



「ひぁ‥」



胸から腰をまさぐられて
正常位になった俺の腹の上で揺れてる先から相変わらず液を零してるのが見えて



犯されて狂ってく自分を感じた



「は…ぁっ、‥も、イく…」


揺さ振られるたびに卑猥な水音とチリンチリンと鳴る自分の鈴



快楽に溺れる俺を嘲笑ってるかのように響いて耳に痛い




「っ好きなだけ、イケッつの…」



言葉と共に容赦無く貫かれて、溢れてくるのは生理的な涙



込み上げてくるのは射精感と虚しさばかり




「っひぁ…あぁっ!」



自分の出すものとは思えない声で叫んで



手に入らないてめえの歪んだ笑みで網膜焼いて

そのまま意識を手放した










起きた頃にはとっくに真夜中で虫の声すら聞こえやしない


「…だから、下は嫌だって言ったんだよ」…


嫌なのに求めてしまう


ねだってしまう



身体だけで感じるアイツの熱を探してしまう




求めるぐらいなら
埋め込んで
欠き抱いて
俺の熱で蕩かしちまいてぇ



「…馬鹿みてぇ…」




一途なまでの馬鹿な感傷



満たしてくれるのはオマエだけ





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