「いってぇんだよっ!このヘタクソがっっ!!」

もうすぐだったってのにそう叫ばれ、腹に足蹴を貰い強制的にお預けをくらったのはほんの二日前の出来事。


そんな訳でたまりたまった俺の愚痴やら何やら話を聞いてくれた阿近さんが心底哀れんだ眼差しをくれながら

「…じゃあこれでも使ってみろや。」

と何とも妖しさ漂うピンクの液体をくれたのは二時間前。とりあえずお礼を告げて技局からそのまま向かってるのは先日追い返された修兵の私室。

手ぶらで行くのも何だからとらしくねぇ気を使って、用意した手土産片手に足取り軽く。

修兵がこよなく愛する濁り酒はタプンと音を立てて、喜んでくれる顔が目に浮かんで思わず一人笑う。

空に浮かんだ月はまばゆく光り、酒に誘うには上等のシチュエーション。

まぁ、修兵みてぇに経験豊富っつう訳じゃねぇし明らかにそっち役のが辛いはずだし。そうやって自分を納得させてとりあえず謝って二人で呑むのも悪くねぇかななんて。ぶっちゃけ「ヘタクソ」は結構傷ついたけどな。


「修兵ー」


辿り着いた私室の前で声を掛ける。勝手に入ろう物なら阿近さんよろしく鬼の形相で蹴を見舞われる故。
修兵の部屋なんて何処に何があるかまで知り尽くしてんのに今更だろと減らず口を叩けば『親しき中にもって知んねぇのか?あぁ?』とか似合わねぇ台詞を凄まれた。ま、そんな真面目なアンタも好きだけどな。


「修ー??」


しかし何時もならば入れよとか何かしら促す声が聞えるはずなのに、今日は待てどくらせど応答はなく中からは何の音もしない。


「?居ねぇのか…?」


出掛けるには時間が遅すぎるし不思議に思って霊圧を探れば確かに中に感じる修兵の物。
まさか中に居れたくねぇほど怒ってんのか?とか思いつつも今更ここで引き返すのも馬鹿らしいし。

「…入るぜ?」

蹴を覚悟にソーッと襖を開けて中に入っていけば探し人はすぐに足元に見つかった。最近寒くなってきたからと一早くだした炬燵に半身を納めて、さながら丸くなって眠る猫みたいに。
温かさに気持ち良くなっちまったのか、疲れがたまってんのか声を掛けた俺に気付かないほど寝入っている

「…ぅん…」


不意に寝返りをうったその顔を覗き込めば安らかな寝顔。いつもは鋭い眼差しも今は長い睫毛に縁取られていつもより数倍は幼く見える。ぷっくりとした赤い唇も俺より白い滑らかな肌も贔屓目かもしれねぇけど全てが可愛く見えて仕方ねぇ。んで、長々とお預けくらってる俺がこんな可愛い修兵を前にその気にならない訳もなく…早速頂くことに決定。

軽く誘うように開いた唇に触れるだけの口付けをまずは一つ。柔らかな感触に気を良くして修兵の下唇を甘噛みしてからペロリと一舐めしてから顔を離すと眉間に皺を寄せてうっすらと目を開ける修兵と視線が絡んだ。

「…何してんだ…」

寝起きの擦れた声で目をゴシゴシ擦りながら聞いてくる。猫みたいな仕草だなーなんて思うがそうは悠長に考えてはいられない。
修兵は低血圧で寝起きが悪い。恐らくまだ思考は半分以上は夢のなかだろう。
どうしたもんか。
このまま続行すればさすがに意識は覚醒して生かさず殺さずどつかれるのが目に見えてる。まずそれは全面回避でいきてぇ。

じゃあ、どうする…。

考えを巡らせながらふと視線を彷徨わせれば自分の手元に転がってる土産にと持参した酒瓶。懐には阿近さんから頂戴したピンクの液体。十中八九この液体は…媚薬。そんで目の前にはまだボンヤリした目で覆いかぶさった俺を見上げる修兵。そうなればすることは一つしかねぇじゃねぇか。

「修…。」

「ん‥何…だよ」

するりと指を頬に滑らせて顔に掛かった黒髪を耳にかけるピクリと肩を震わせる。

「仲直りしたくて酒持ってきたんだけど…呑まね?」

「…いーけど‥」

デコとデコをくっつけて触れるか触れねぇかの距離で囁けば顔を反らして呟く。耳まで赤いから顔反らしてもバレバレなんだけどな。ある程度予想どおりの反応に思わず上がりそうになる口端を押さえた。

「‥とりあえず退けっ」

跋が悪いのか赤く染まった顔を見られたくないのか依然顔を背けたまま重いんだよと主張する修兵を尻目に上に居座ったままおもむろに酒瓶に手を伸ばす。
口で栓を抜けばキュポンと良い音たててフワリ鼻孔を擽る酒の香に修兵の喉が鳴った。

「人の上で呑む気かよ。テメェ」

依然として退かない俺の胸元をぐいぐい押しながら不満げに見てくる。

「心配しなくても今呑ませてやるよ」

「はぁ?」

頭に?を浮かべて。
あぁ、寝起きのアンタは本当に可愛いな?普段なら俺が何をするかなんて疾うに察しているだろうに。

ニッと口端を釣り上げてそのまま一気に酒を呷って。下から見上げてくるアンタにそのまま口付けて注ぎ込んだ。

「っ!?‥ん…っう…」

隙間無く一滴たりとも零さねぇように。油断していた口内に舌を滑らし酒の味を絡ませる。

「ふ…ぁ…」

何度もその行為を繰り返すうちに胸元にあった手は力を無くしてただ着物の合わせを握り締めるだけになって。

「美味い?」

「ん‥は…ぁ」

聞いてやればもはや呂律も回らなくなり立派な酔っ払いの出来上がりだ。

「もっと欲しい?」

「‥ぅん…」

巧く回らない思考に問い掛けてもまともな返答なんて帰ってくるはずも無いから都合の言い様に解釈する。

縋り付いてくる修の手によって開けられた懐から例の薬を取り出してそれも一気に呷って酒同様に流し込んでやった。

「っ…ふ…甘‥」

そのまま既になすがままの舌を絡め取り、キツク吸い上げてやれば眉間に皺が深く刻まれ、ヌルヌルと舌で擽れば唾液と薬によって甘い味が口内に染み渡る。

「は…っ」

唇を離せば銀の糸が伝いぴちゃりと濡れた音が響いた。トロンとした瞳はどこか虚ろで普段は生ッ白い卑猥な入れ墨の入った顔は真っ赤に染まり、下に組み敷いたままの細い身体は微かに震え呼吸も荒くなっている。

それを見て下半身はいよいよ疼き初めて。ふと考える。

そういえば飲んでどれくらいで効果が出るか聞いてねぇな…

今目の前に居る誘うような姿の修は酒のせいか、それとももう薬が効いてきてるのか。判断しかねる。

試しとばかりに耳に舌を這わせて耳たぶを甘噛みしてやればビクリと跳ねた。

「修…」

舌を差し込んで頬を撫でながら名前を呼べば擦り寄ってくる。普段なら絶対にしないその行動に軽く眩暈を起こしつつ確信した。

確実に効いてる。
これはいける!と。

それならば行動は早い。

未だ炬燵に半身を収めた修を抱き上げて寝室の布団まで運ぶ。炬燵でってのもいーけど狭くて動けねぇのは御免だ。

「恋、次…」

移動する間も抵抗らしい抵抗はなく熱い吐息とドクンドクンと感じる修兵の動悸に昂ぶるばかり。
止めとばかりに名前を呼ばれりゃ後はそのまま。

今日はもう何度となく交した口付けを降らしてやれば薄く笑う。

「っ…はぁ‥」

吐息を吐き出しつつスッと伸びてきた手は俺の後頭部に回ってきて更に深い口付けをねだってきた。
誘われるままに舌を絡ませていれば不意に下半身に違和感。ゴソゴソと腰帯を解いて中にスルリと侵入して来た手。

「なっ…!」

思わず身を退いて座る形なれば身を起こしてそのまま自身を扱き始められた。

「…まじかよ‥」

修兵とは何度か身体は重ねたけどいつも痛いだの何だの文句を言うのを宥めて俺が最初から最後までやってやるのが常だった訳で。

「っは…」

俺のを銜えて額に汗を滲ませる姿なんて見た事はなかった。その姿はダイレクトに下半身にきてかなりヤバい。

赤い舌で鈴口を撫でられ竿の部分は手で扱かれる。舌から上へ舐め上げられ一気に銜え込まれればふっと鼻に掛かった息が漏れた。

「ひ、もちいぃ…?」

「っ…そのまま話すなよ…」

背筋を這い上がる甘い痺れをやり過ごして四つ這いになっている修の髪に絡めていた右手を背中から下肢まで滑らせ着流しを捲り上げた。陽に焼けてない更に白い肌が惜し気もなく曝け出され内腿の肌を撫でつつ下着も抜き取ってやった。

「ん、はぁ…っ」

途端に成長しきった修兵の自身が空気に触れ跳ね上がった。

「俺の舐めて興奮しちゃった?」

「違…っ」

薬の所為だと分かり切っているがあえて聞くのはその羞恥に染まった顔が見たかったから。

「ゃあ…ん…ぁっ‥」

あえて敏感な所には触れねぇようにケツを揉んだり孔を掠めてやれば甘い声が上がる。がくがくと震える足は体を支えるのも限界なのか俺の足に縋るようになっちまっている。

「ん…恋ッ…ちゃんと、触っ…てぇ…」

…薬ってすげぇ。
こんなに乱れた修を見れる日がくるとは思わなかった。

「れん‥じぃっ…」

声に促されるままに。
触れてもいねぇのにヒクヒク凝縮する蕾は先走りで女みたいに濡れていて慣らす必要もねぇかとそのまま指を突き立ててやった。

「んあっあぁぁっ!」

「……」

思わず言葉を失う。それだけで修兵は欲を吐き出した。白い液体はボタボタとしとどに流れ落ち足を伝い布団に染みを作り上げていく。

突き入れた指を中でぐるりと回して引っ掻き更に指を増やし抜き差しを繰り返せばジュプジュプと濡れた音と修兵の声だけが鼓膜に響いて。

「ひぁ…っぁん…」

もはや口淫なんて忘れて俺の股間に顔を埋めて腰を振って善がる体を支えて上に座らせてやる。

「あ…っん…恋‥次ぃ…」

トロリとした瞳に恍惚な表情。さっき吐き出したばかりなのにもう膨張しきった自身を擦ってやれば頭を振って鳴く。

「やぁっ…ぁ…ぁっっ…キモチ…ッ…んぁ…」

マジでたまんねぇ。
帯だけでかろうじて留められてる邪魔な服を剥いで一糸纏わぬ姿になった修兵の胸に赤く尖る乳首に貪り付いた。




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