人間とは慣れる生き物である。佐助はつくづくそう思った。愛猫が人の姿になってから二週間が過ぎた。最初の内は猫の姿に戻らないのかとも思って色々心配もしたものだが一週間もたてばまぁ、どっちも可愛いしいぃんじゃない?とか思い始め、政宗ように穴を開けた服も着実に増えてきた最近は確実に政宗が人形で居ることに違和感を覚えなくなっていた。

「ただいまー」
「お疲れ、飯出来てるぜ」
「うわぁ、今日も美味しそう!」

今日も早足でニコニコと佐助が帰宅すれば尻尾を振りながら政宗が出迎えてくれる。そしてその後ろには簡単なりにも夕飯が出来ているのだ。二週間前までは猫だった政宗が俺様の為に夕飯を!全く政宗の頭の良さには感服物である。

そう政宗は猫である。
人の姿になったと言っても耳も尻尾もあるし人間としての知識なんて無いに等しかったのに。まるで乾いた土が水を吸い込むようにどんどん人間らしさを吸収していった。

そりゃ最初の頃は覚えたての洗濯をしてみたかったのか箪笥からここ暫く着てなかった洋服全部を引っ張り出して洗ってみたりだとか、炒めるのが楽しかったのか冷蔵庫の野菜を全部野菜炒めにしてみたり等々。他にも色々と「なにしてんの!?」とツッコみたくなるような事をしでかしてくれたりもしたけれど。

縮んでしまった洋服なんて縁がなかったのだ。後は折角全部出したと言うことで政宗の気に入った物をチョイスして貰って政宗用にした。野菜炒めはフードパックで冷凍にして未だに食べてるから問題ない、と佐助は納得する。

政宗は猫なのだ。
可愛い愛猫の悪戯で怒ったりしてはペットなんて養えないのである。そう。どんなに憎らしい事をしでかしても佐助は政宗を溺愛している。人の姿だろうが猫そのものであろうが政宗馬鹿は立派に健在である。


「風呂もわいてるけど?」
「ホント?うーんでも先に政宗のご飯食べたい」

「……なら早くしろよ。」
「はーぃ」

直ぐにキッチンへと向かっていってしまった政宗だが言葉はつれないのにフサフサの黒い尻尾が左右に大きく揺れている。

(フフ。ツンデレなんだから…)

最近は真っ直ぐシャワーに行くこともなく、洗濯も自分でしなくなりまるでお嫁さん貰ったみたいだな、と考えてから誰彼問わずに謝りたい衝動にかられるがそれをなんとかやり過ごしてスーツを脱ぐといつの間にか側に居た政宗がそっとソレを受け取りハンガーにかけてくれる。

(良妻だなぁ…)

性懲りもなくそんな事を考えながら用意された食卓で政宗と向かいあってご飯を食べる。政宗に料理の仕方から何から、文字通り佐助が何から何まで教えたので食卓に並ぶメニューは佐助の好みの味をした物ばかり。ホクホクと味わっていれば、ふと政宗のフォークを持つ手が止まりジッと窓を見つめる。

佐助もつられて見てみるが別に何も異変は感じない。

「どうかした?」
「An…他所の奴の声がする」
「他所の?」

政宗が言うのはきっと猫の事なのだろうけど佐助には聞こえなかった。何か問題でもあるの?と問う前に政宗は何事もなかった用にまた食事を再開させていたので気にすることもないかと佐助も何も言わずにまた食べ始めた。





そしてその夜。
佐助は違和感に目が覚めた。ショボショボして目は開かないがまだ辺りがまだ暗いのが何となく分かった。

「ん…ぅ…ぁ?」


ぼんやりと思考を巡らせていると思わずと言った感じで自分の声とは到底認めたくない声が盛れる。

「な、に……?」

腰の辺りがズクンと熱を持って誰かにまさぐられている感覚。慌てて布団をはね除けて下肢に目を向ければ居たのは自分の愛猫、政宗だった。

「ちょ、ちょっと、政宗!アンタ一体何してるの!?」

予想もしない事態に佐助は目を白黒させているとおもむろに佐助のズボンに手をかけてくる。慌てて止めに入ればそこで漸く政宗が顔をあげた。

(うわぁ、なんつぅかエロい顔……)

潤んだ瞳に目尻はうっすら赤く色付いて。僅かに開いた口からは真っ赤な舌がチラチラと見え隠れしている。よく見ればうっすら汗もかいていて肌も上気している。

そんな姿にゴクリ、と佐助の喉が上下に動くのを見ると政宗はニィ…と口端をあげて凶悪にそれでいて妖艶に笑った。

「政宗…?」
「……身体が熱くて疼くんだ。」
「え?」
「鎮めてくれよ、my master……」


低く、甘く囁いた政宗の声。

「ん…」


それを理解する前に近づいてきた蠱惑的な赤い唇を避けるなんて選択肢は佐助には無く、ただ流されるまま目を閉じるだけだった。



「ふ……ん……っ」

グチュ…っと音が出るほど舌を絡ませてくる政宗は佐助の上に跨がったまま仕切りに腰をすり付けてくる。太ももに感じる政宗の雄は触れてもいないのに既に硬く大きくなっているのが分かった。

「は、…ぁ…ん…」

逃げればもっと、とでも言うように吸い付いてくる政宗のザラザラとした舌で舐めあげられるのが存外に気持ち良くて佐助は成り行きに任せたまま政宗の下に居た。腰を揺らめかしながらスリスリとすり付けてくる政宗を見て「可愛いなぁ」と思いこそすれ「止めなきゃ」と言う考えはちっとも浮かばなかった。

「さすけ…さす、け…っ」

暫くそのまま好きにさせていると布の上からだというのにジンワリと濡れてくる感覚が伝わってきた。

(このままにしておくと自慰だけで終わっちゃいそうだな…。)

ここで佐助は自ら動く事にした。


「…政宗?」
「ぁ、ん……?」

ピクピクと動きながら存在を主張する柔らかい猫の耳を下から指で撫でて声をかける。若干甘い声を上げた所をみると耳は感じるのかもしれない。

「俺様に鎮めて欲しいんだよね?」

政宗はとろりと蕩けた瞳で佐助を見つめながらこくりと首を縦に降り肯定を示した。

「じゃあ、まずは俺様をその気にさせてくれる?」
「そ、の気…?」
「うん。俺様を気持ち良くしてくれたら政宗も……」

ね?と笑ってやると政宗はどうしたら良い?と眼で訴えてくる。

「じゃあねぇ…」

佐助が腹筋で身体を起こして政宗を見やると下には何も穿いていなく以前も見た事の有るシャツ一枚だった。丸見えの下半身。政宗の自身からは先走りがしとどに零れ竿を伝い佐助のズボンにイヤラシイ染みを広げている。そんな姿に佐助の中で虐めてやりたいという欲が疼く。しかし初めてから虐め過ぎて「次」と言うものが無くなっては勿体無い。

もうすでに「次」等と考えている辺りなんとも最低なご主人様だったが生憎この場でそれをツッコム人など居るわけもなく。

佐助は今回は優しく優しくしてあげようと決めた。
政宗に快楽だけを教え込もうと言う魂胆だ。

「んー…政宗、手かして?」
「Hand?」

キョトリと首をかしげる政宗を余所に佐助はさっきは自分で阻止したズボンを下着事下にずらし、やんわりと硬さを持ってきた自身を取り出した。そして器用に腰を押し付けて差し出された政宗の手に自分の物と政宗の物を握らせ更に自分の手も重ねる。

「ん…熱い…」
「フフ。政宗さっきみたいに腰動かして?」
「Ya…」

言われた通りに政宗が腰を動かすと同時に佐助が手で扱いてくる。

「ふっ…ぁあ…」
「…っ…ぁ…政宗、気持ちぃ?」
「ん…ん…っ」

腰を動かす度に段々と硬くなり大きくなる佐助自身に政宗はゾクゾクとしたものが背筋を這っていくのを感じた。更に佐助に先端をグリグリと抉られる度に溢れる先走りの液がぐちゅぐちゅと音をたてて羞恥を煽っていく。

「も、…やぁ…ん、出る…っ…あっ、あぁっ」
「ん、良いよ…」
「あっ、ふぁ…あ、あ、あぁあ…―ー!!」

腰の動きが増すにつれ政宗の甘い声も大きくなり限界は直ぐに訪れ政宗は握り締めた自分達の手中に精を吐き出した。

「は…ぁ…んっ、はぁ…っ」
「フフ。政宗可愛いぃ」
「あっ!さす、そこ、そこっ…耳やぁ…っ」

吐精の余韻に荒い息を吐き恍惚とする政宗に佐助はちゅ、ちゅと額に頬に耳にキスを降らす。ピクピクと動く耳が可愛いらしく甘く噛んだり舐め上げてやると出したばかりの政宗自身がまた硬くなり始める。

しかし今度はそこには触れずに政宗が出した精液を指に絡めて政宗の足元に回る。

「なに?さ、すけ…?」
「んー?大丈夫、大丈夫。そのまま力抜いてて?」

(よく慣らしてあげないとねー)

くたりと俯せになっていた政宗の腰を支えて尻だけを高く持ち上げ佐助は蕾に手を伸ばす。しかし目の前には長い尻尾がヒクヒクと所在無さげに揺れている。とりあえず尻尾を上に持ち上げようとやんわりと握った瞬間

「んあぁっ!!」

政宗から感じ入った甘い悲鳴があがった。その反応に佐助は一瞬目を見張る。そしてなんとなく合点がいく。

「ん…!っあ…あ、やだ…っ、尻尾やだっ…」

それを実証するべくまるで口淫するかのように唇で挟み扱いてやれば予想通りの反応が返ってきたので佐助は内心でほくそ笑んだ。

「はぁっ!あっ、あっ、ダメ!尻尾、ダメェッ…!」

尻尾も耳も感じるなんてエロイなぁ、と思いながらも佐助はソレを大いに利用することにした。軽く歯をたてたり舐めたりと丹念に尻尾への愛撫を施し、その刺激に政宗が意識を取られている内に政宗の放った精液をローションの変わりにしてツプリと指を中に差し込んでしまう。もっと手こずるかと思っていた佐助だが難なく自分の指を受け入れた蕾に安心し二本、三本と指を増やしていく。

「ふっ…んっ…?」
「政宗、キツくない?」
「あぁっ…ん、ん、…あっ、んん…っ…平気…あっ!ん、あっ!そ、そこ、やぁあっ!」

尻尾に気をとられていた政宗も中を探られる度にゾクゾクとした感覚と僅かな圧迫感に身体をひくつかせた。でもそれも佐助が内にあるシコリを発見したことにより直ぐに快感へと変わってしまった。

「そろそろかな」
「あっ…?」

すっかり解れた事を確認してから佐助は指を引き抜いてしまう。政宗が急な喪失感から声を漏らすがそこには触れず、変わりにさっきからずっと大きくなりっぱなしの自身をヒタリと宛がう。

「力、抜いててね…」
「あ、んっ…ぅあぁ…っ!!」

ヒクヒクと誘うかのように轟くそこに佐助は一気に自身を納めてしまった。挿入はやはり思ったよりも簡単でホッとしながら政宗の背に覆い被さるようにしてピタリとくっつき馴染むまで背筋を舐めたりペタリとねてしまっている耳に舌を這わせる。そして漸く政宗の呼吸が整ったのを見計らって

「政宗がその気にさせてくれたし俺様がんばっちゃうよ?」
「あ、バ、カぁっ…あ、あ、ぁーっ!!」

佐助は勢いよく腰をふり始めたので政宗の悪態も喘ぎに変わってしまった。


「あ、あ、やぁあっ、も、ダメ!ダメぇっ!」
「そんなにダメなら、…やめる…?」

何回かの抽挿を繰り返す内に熱く蕩けてきた内部に最早止める事なんて出来やしないのに佐助は意地悪に囁く。
そんな佐助の思惑など知らずに政宗は必死に首を横に振り口を開いた。

「や、やだっ…ひぁ、やめちゃ、やだぁ…っ!!」
「ワガママだね、どうして欲しいの?」

ジュブジュブと泡立つ音が激しさを増す。敷布に溢れる蜜に僅かに白濁が混ざっていることに佐助は気付いていた。



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