2.志摩出
「あなたも私もポッキー☆出雲ちゃん!俺とポッキーゲームせ、ごふっ!?」
「誰がするか!それにポッキー&プリッツの日は昨日よ!」
ポッキー(極細)を手に腕を広げて走ってきた志摩を、出雲は容赦無く沈めた。華麗なアッパーが見事に顎に入った志摩は、まるで屍のようである。
「いずもちゃんひどい」
「あんたがキモい顔で寄ってくるからよ」
上手く喋ることができないらしく、志摩が少し舌ったらずに言えば出雲はこれまた容赦無く切り返した。
「ていうか、なんで今日なのよ?」
「せっかくのラブラブイベントであるポキプリの日に金欠でした」
「ポッキーも買えないほどに?」
呆れたような声で出雲に問われ、沈んでいた志摩はむくりと起き上がり頷いた。
「一昨日にええ感じのエロ本見つけてつい買うたら、財布に50円しか……て、あ…」
「……………へえ?いかがわしい本をまた買ったのね?」
「い、いや買うてへん!買うてません!」
「買ったって言ってたわよ思いっきり!」
怒気を感じた志摩が慌てて言い繕うが、時すでに遅し。出雲は志摩にいかがわしい本、つまりエロ本を読むのを止めろと言っていた。しかし、志摩はそれを了承したにも関わらず破った。ちなみに、初犯ではない。出雲は志摩を思いっきり締め上げた。
「………昨日塾無かったし、あたしがどんな思いで……」
「ギ、ギブギブ!ちょ…ほんまに締まっ…て、今なんて?」
ぼそぼそと小さい声で言われた言葉を、耳聡く聞き取り俯いた出雲を見つめる。
「なにも言ってないわよバカ!」
「…耳、真っ赤やで?」
出雲は志摩を突き放し、くるりと背を向けてしまった。しかし、志摩は出雲の耳が赤いことに気付き頬を緩めた。効果音をつけるならば、にやぁという感じに。
「出雲ちゃんはほんま、かわええなぁ」
「ちょっ…!降ろしなさいよ!」
「はいはい。このまま連行〜」
志摩は後ろから出雲に抱き着くと、そのまま横抱きに抱え上げた。出雲はさらに真っ赤になり抵抗するが、志摩は頬を打たれようが髪を引き千切られようが頑張って耐える。
「せっかく出雲ちゃんがデレたんやから」
「デレてない!」
ビクともしない志摩に、出雲は諦めて大人しく連れて行かれました。
2.
期待した私がバカだった
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