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2.ノン・シュガーガール

志摩くんと朴さん









「で、どうしたら出雲ちゃんは俺に振り向いてくらはるんやろ」

「んー…志摩くんにもう少し頼りがいと甲斐性があればいいんじゃないかな?…あ!!あと誠実さ?」

「………朴さんって案外ぐさっとくること言うんやな」

「そう?」




志摩の呟きに、朴は頬に手をあて少し悩んだ後、にっこりと笑って告げた。彼女なら優しく答えてくれるだろう、という志摩の期待はあっさり砕かれた。しかも無自覚らしい。的確な発言と相手が女の子である故に、志摩は何も言えず唇をひきつらせて黙り込んだ。




「志摩くんは出雲ちゃんのこと好きなの?」

「…そやなぁ…仲良うなりたい女の子の内の一人、みたいな?」

「…ふぅん?」

「ぱ、朴さん…?」




軽い気持ちでそう言えば、朴の纏う空気がなんだか不穏になった。意外と空気に敏感な志摩は思わず後ずさる。そんな志摩に朴はにこにこと朗らかに笑んだまま首を傾げた。




「志摩くん?どうかしたの?」

「えっ…!?あ、いや、なんもあらへんよ?…えっ…今の無意識?」




心底不思議そうに問われて、志摩は慌てて手を振った。しかし、ほわほわに見えて毒舌かましたり不穏な空気を纏う朴への驚きは消えない。




「出雲ちゃんは、私の大切な友達なの…もしね、出雲ちゃんに大切な人ができるなら、出雲ちゃんのことをしっかり受け止めてあげられる人がいいと思ってるんだ」




穏やかに微笑みながらも、真っ直ぐに志摩を見据える朴。それを見た志摩は、思わず佇まいを直した。




「だからね、もし遊びで出雲ちゃんに近付くなら許せない、かな?」




にこりと朴は笑い、ぴきりと志摩は硬直した。彼女の後ろには般若っぽいものが見える。冷や汗がだらだらと志摩の頬を伝う。しかし、そんな志摩の様子に気付いた風もなく朴は一歩志摩に近付いた。




「出雲ちゃんと仲良くしてくれるのは嬉しいけど、泣かせたら……ふふふ」

「…………き、肝に銘じときます全力で」

「うん、よろしくね」




朴の迫力に思わず敬語になった志摩。彼が頷いたのをしっかり確認した朴は、今までで一番晴れやかな笑顔を見せた。








ノン・シュガーガール
(怒らせたらあかんタイプや…)









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