1.あたしにデレなんて甘さは無いわ
志摩くんと神木さん
「意味が分からないんだけど」
「えー?そないにあかんの?」
まとわりつく志摩をうるさそうに見ながら、出雲はしっしっと手を振った。ぞんざいな扱い様に、志摩は若干涙目になったがそんなことでめげる男ではない。しかし、相手はあの神木出雲。
「まったくもってその必要性がないじゃない」
「いや、あるある。俺、かわええ出雲ちゃん見たいんやけどなー?あ、なんもせんでもかわええけど」
「なっ!?変なこと言わないでくれる!?」
「あれ?照れてはる?」
「うるっさい!!ついてこないで!!」
不機嫌MAXな表情で志摩を怒鳴る出雲。これ以上なにかしたらただじゃ済まないほどの怒気。それを感じた志摩は大人しく黙り込み、歩いていく出雲の後ろ姿を見送った。
「うーん……やっぱあかんかぁ…」
ぽりぽりと額の古傷を掻きながら、志摩はため息を吐いた。
あたしにデレなんて甘さはないわ
(誰がアンタなんかに!!)