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stardust

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Prince of Tennis
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相合傘しましょ(リョガリョ)

「こりゃぁ、当分やまねぇな…」

 練習中に突然降りだした雨は、雨足を弱まらせるどころから酷くなる一方だ。朝のニュースのどの天気番組でも「今日は心地の良い快晴が続くでしょう」とお天気ニュースキャスター達は笑っていたというのに、どいつもこいつもインチキばかり。誰も傘など持ってきていなかった青学レギュラー陣は仕方がなく、部室で雨宿りするはめになる。
 窓の外を覗きこみながら呟いた桃城の言葉を聞いてリョーマは小さなため息を漏らした。今日は帰ったらテニスの打ち合いをしようと約束していたのに、どうやら間に合いそうにもない。というかこの雨では到底テニスなど出来ないだろう。とても楽しみにしていた分、非常に残念で、ベンチに腰掛けたままブスッと唇を尖らせた。
 部室の中では、憂鬱な雨にも関わらず各々好きなことをしている先輩たち。大石に宿題を教えてもらう菊丸や、日課となっている部誌を書く手塚。テニス雑誌を覗きこみながら楽しげに話す不二と河村に、窓の外を見て退屈そうな桃城。そして、謎のデータをとっている乾だ。海堂は雨にも関わらず既に帰ってしまっている。これなら一層雨足が強くなる前に海堂先輩と帰っておくべきだったとため息を漏らしながらリョーマは、小さく目を閉じた。
 すると、突然部室の扉が勢いよく開き、想像もしていなかった人物が現れる。

「迎えにきたぜ!チビスケ!」
「リョー…ガ…?」

 大きな水色の傘をさした実兄がなぜか楽しそうに笑っていた。突然の来門者に部室の中にはシーンとした沈黙が降り立つ。それにも構わず、一度傘を畳んだリョーガは、満面の笑みを浮かべながらリョーマへと近づいた。

「今日約束したのに中々帰ってこなかったからな、雨降ってるし迎えに来た」

 そう言ってリョーマの隣に無造作に投げられていたテニスバッグを背負うと、グイッと傘を掴んでいないほうの手を握ってリョーマを引っ張り起こす。そうしてポカンとしているリョーマをぐいぐいと引っ張って部室の出口へと向かった。

「それじゃぁ、こいつ連れて帰るわ」

 そう手塚達に気さくに話しかけて、再度部室の扉を開く。そうして大きな水色の傘をゆったりさすと、リョーマの手から肩へと手を置き直し、自分に引き寄せるようにして部室から去っていった。そんな嵐のような男の到来に対応できなかった青学レギュラー陣はぽかんとした面持ちのまま彼らを見送る。そうして無常に閉まった扉を見ると、小さくため息を漏らした。
 リョーガの大きな手に抱き寄せなられながら、リョーマは帰路につく。鼻歌まじりで笑う実兄とは反してリョーマは始終無言だった。あまりの雨のひどさに外には人っ子ひとりいない。そのせいか、リョーマの耳にはザーザーと降り注ぐ雨の音と実兄の鼻歌しか聞こえてこない。それはまるで世界に二人だけしかいないような錯覚に陥った。
 チラリと上目遣いでリョーガの顔を盗み見る。楽しそうにしているリョーガになんだか恥ずかしくなって、身体がカーっと熱くなった。それを誤魔化すように視線を逸らして、それでも離れないようにリョーガの服の裾をキュっと掴むと、小さく本当に小さくリョーマは悪態を吐くのだった。

「迎えに来るなら傘二つ持ってこいよな…」



相合しましょ
(雨の日も意外にいいかもなんて思ったり)
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After word(あとがき)
メモログ。雨の日のリョガリョ。相合傘をしている兄弟可愛いよ。このリョーガくんは既に日本在住です。そのうちどこかの学校通いだす。無意識にラブラブしてればいいよ。この兄弟は。ちなみにリョーガは確信犯です。
2012/06/01
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