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stardust

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Prince of Tennis
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わんこ系彼氏(鳳リョ)

 先日、念願叶って愛しい少年と両思いになった長太郎は、その日始めてのデートのために彼の家から最も近い駅の前で待ち合わせをしていた。今日があまりにも楽しみ過ぎて、ろくに眠れなかったのだが、朝になっても落ち着くことは出来ず、約束の時間よりも30分も早く到着してしまった長太郎は、どこかそわそわと忙しない様子をしている。腕時計と駅の入り口とを何度も見比べては、いつ愛しい恋人が来るだろうかと今か今かと待ち構えていた。
 しかし、そんな上機嫌な長太郎の気分も、一瞬にして冷たい白夜のように冷えきってしまう。何を勘違いしたのか二人ずれの女子校生が長太郎へと声をかけてきたのだ。

「ねぇ!一人?」
「一緒に遊びに行かない?」
「いえ、約束してますので」

 見目もがたいもいい所謂イケメンに分類する長太郎にテンションが上がったのか、その女子校生は馴れ馴れしい態度で言葉をかける。しかし、微塵にも興味を抱かなかった長太郎は、冷たい態度で切り離したのだが、そんな彼の態度に気がついていないか、ただの馬鹿なのか女子校生は更に馴れ馴れしく、長太郎へと近寄って来た。

「もしかして、男の子ー?」
「じゃぁ、その子も来たら一緒にご飯行こうよ!」

 長太郎はその女子校生を「ふざけるな!」と罵倒したかった。誰がお前達みたいなブスなんかと食事に行くものか。ましてやあのリョーマくんをも巻き込もうとしているのだ。せっかくの初デートだというのに、機嫌は損なわれるばかりで長太郎は苛ついた態度で「行きません」と吐き捨ててやる。しかし、それにもめげない女子校生は「えー!」と声を大きくして、不満を露にした。

「長太郎、待った?」
「リョ、リョーマくん!」

 ふと、自分の名前を呼んで歩み寄ってくるリョーマに気がついた長太郎は、パッと顔を明るくしてリョーマの名前を呼んだ。先程まで女子校生に向けていた態度とは正反対の様子に、女子校生二人は呆気にとられる。
 リョーマ「くん」と呼ばれる辺りから考えて現れた人物は、少なからず少年だと考えられるが、如何せんその容姿が整い過ぎていた。化粧っ気のない真っ白い肌。チークやをグロス塗らずとも頬や唇は可愛らしいピンク色に色好き、マスカラなどなくとも不思議な色合いを放つ琥珀色の瞳を覆う睫毛はとても長かった。髪は痛みなどとは縁がないほど美しい黒色で、シンプルな服装はその人物の華奢さを余計引き立てていた。
 呆然と自分を見つめる女子校生に気がついたのか、その人物は自分の隣でニコニコと笑う長太郎の逞しい腕にするりと細く白い腕を絡み付けると、クスリと妖美な微笑みを浮かべて女子校生へと言葉をかけた。

「オレの犬になんか用?」



んこ系彼氏
(この子は誰にもあげないよ?)
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After word(あとがき)
メモログ。メモログ。鳳リョ。ただリョーマくんに長太郎のことを犬と呼ばせたかっただけです。長太郎はリョーマくんの前だと無邪気なわんこだけど人前だとただの腹黒になればいいよ。鳳宍?それって何、美味しいの?
2012/05/30
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