※月子がちょっとアレな性格になってます
「一体あたしが、なにしたっていうの」
足がまるで棒になったみたいに上手く動かなくて、絡まり縺れて私は地面に倒れた。随分と長い間走り続けたせいで汗だくで、大粒の汗が地面に黒い点を作った。足は動かなくても私は進まなければ、這いずりながら私は顔をあげる。
走り続けてきた道は決して平坦な道ではなかった。でこぼこだらけで、その度私はすっ転んで顔面をぶつけて血塗れで泥まみれで、黒いタイツは破れて膝小僧なんて気持ち悪いくらいぐちゃぐちゃで、それでも止まれなくて走り続けた。止まったら綺麗でいられなくなる事を私は本能的に知っていた。だって止まったらそれは老化の始まりだもの。刹那の瞬間に傷付く様が美しい事を私は誰より知っていた。
華奢な足はむくんで、ヒールのあるパンプスは片方脱げてしまった。靴擦れがいたい。前髪少し切ったんだねとか、どうでもいい容姿の変化には目敏く気付くくせに、どうして慣れないヒールで出来た靴擦れみたいな虚勢には誰も気付かないの。ああいたいいたいくるしい
「誰からも誰よりも愛されたいって思って、何が悪いの」
馬鹿な根性の悪い女だと思っている奴にこれだけは一つ言うわ、私は私が生まれて物心がついてから、誰かに愛される努力を怠った事は一度もないの。今こうやって色んな人に愛されているのは全て私の努力の賜物なの。馬鹿にするのも嫉妬するのも勝手だけど、私の血の滲むような努力を笑う事は絶対に許さない
「あたしは、悪くないもの。全部、全部、悪いのは周りの奴等じゃない」
勝手に女神様に仕立上げたり聖女フィルターかけたり、嫉妬したり、悪女扱いしたり。精々私に振り回されてればいいんだわ、私をこんなにしたのは全部他人だもの。
「ふふふっ……ばーか、死んじゃえ」
ぼたぼたぼた
地面を濡らしたのは汗じゃなくて涙だった。
「……ふっ、う、死ん、じゃえ、みんな、死んじゃえ、」
込み上げた感情は怒涛の勢いで全てを壊し暴走する。吠えるように、私は泣く。涙と鼻血と鼻水と泥と、美しい私はぐちゃぐちゃに汚れて叫ぶ。死ね、死んじゃえ。誰よりも愛おしく誰よりも醜い。こんな私、死んじゃえ。
ローリンガールな月子
@月に歌う、シズムさんより