*捏造、ジャンル、CPごちゃまぜ注意 log


(stsk 桜士郎)


糸が欲しい、と思った



俺が俺で在る事より周囲に求められる俺の方が大事だと知ったのは中学の時だった。カメラを片手に色んな物を追い回していれば入って来る情報だって多い。ご近所で俺がなんて言われてるか。占い師の家系に生まれたら俺も占い師にならなきゃならないのか。レールは自分が気付く前から敷かれていて、でも俺はそのまま歩く事を良しとしなかった。俺は異端なのだろうか。決められた事をそのまま実行するのが正しいと、正常だというなら俺は普通じゃなくていいと思った。それでも後ろ指さされ嘲笑の対象なのは明らかだ。同じく笑われるなら道化であった方が余程マシなんじゃないだろうか。痛みは軽減されるはずだ。そう思って俺は自ら笑わせる立場に回った。奇抜な格好おかしな言動、誰もが笑う。嘲笑ではなく自然の笑みで。それならいいと思った。そうしているうちに俺という存在がぼやけてしまったとしても、周りが楽しいならそれでいい。それが俺の幸せ。
傷を晒して同情を乞うのは真っ平だ、どうせなら傷すらも笑いの種にしてしまおう。だからさ糸が欲しいんだよ。傷と傷を縫い合わせて不格好なつぎはぎにして、俺は笑いを誘いに行くよ。傷を自ら晒すんだからほんとは痛みが軽減されない事なんて百も承知、それでも俺は踊るよ。それ以外の生き方なんて知らないよ。

なに?方法はある?周りの声なんて気にするな?

はは、笑わせんなよ一樹。誰もがお前みたいに生きられる訳じゃないんだよ。
そんなんだから番長に嫌いだって言われるんだよ。馬鹿だなあ、いや、一番馬鹿なのは俺か。別にいいんだけど。俺、自分の事あんま興味ないし。楽しけりゃ幸せ。それでいいや。
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