帰ってくるその日まで4
─────---- - - - - - -
※キャラ崩壊
※OCGネタ(H27.1〜のリミットレギュレーションの話)
※駄目だこの夢主
ねえ、もう一杯。
その言葉を何度聞いただろうか。
「…」
「…」
「おい…」
「何かしら」
机の上には空になったジョッキの数々。
そして今もリューナの胃にはビールが注がれる。
「まあ…その…何と言うか…」
「…」
ごく、と喉が鳴る。
また空になったグラスが机に置かれた。
荒れている彼女をなんとかなだめようとするが、それで止まるリューナではない。
困った牛尾が眺める中で、またグラスが空になる。
「どうして…」
「リューナ…」
「どうして混沌帝龍が帰ってきてブリューナクが帰ってこないの…!」
地を這うような低い声に、思わず牛尾の肩がすくんだ。
「貴方もそう思わない?」
「うえっ、お、俺か…!?」
「ゴヨウが帰ってこなくて貴方はいいの?」
「(こえぇ…)」
うんともすんとも言わない牛尾を一瞥し、リューナはまた運ばれてきたジョッキに手を伸ばす。
「あっ、こら、もう駄目だ!」
「…死デッキも、キラー・スネークも、現世と冥界の逆転も、破壊輪も、王家の神殿も帰って来たのに…」
「駄目だって言うのに…!」
「何より分からないのは大嵐禁止でハーピィの羽根帚制限よ!何で上位互換が制限で下位が禁止なの!?」
「それは俺も分からねえ!けどちょっと落ち着け!」
「ボマーは帰ってこないし!いいけど!帰ってこないままでいいけど!」
「だあああもうこれでも食って落ち着け!」
「むっ…」
口に押し込められる唐揚げ。
程々に冷めたそれで火傷することはなく、リューナは咀嚼する。
「…おいしい」
「はー…落ち着いたか?」
「…まあね」
酔い覚ましに水を飲むリューナを見て、漸く牛尾は自分のアルコールに口を付ける。
あのまま二人ともが酔ってしまったらどうなっていたかを想像すると背筋が凍りそうになる。
ひそかに遊星にメールを送って、男は焼き鳥を追加で注文した。
「まあ…しょうがねえよ、こればっかりは」
「…そうなのだけど」
「いいんじゃねえか?それだけ俺達のカードが強いって言われてるってことだぜ」
「…」
「ま、エラッタされることを願おうや。きっとこのままで釈放は無理だぜ」
「…………そうね」
渋々といった感じで返すリューナの手元には1つの透明なグラス。
あ、と牛尾が思った時にはもう遅かった。
「おかわり下さい!!」
「まだ飲むのかよ!!」
ご、と置かれたグラスには一滴の雫もない。
遊星早く来てくれと願う牛尾の味方は、誰もいなかった。
「…う…」
「気がついたか?」
「ゆうせい…」
頭には冷たいタオル。
身体には布団がかかっている。
家にいることは直前の記憶がない頭にも明白だった。
目の前の遊星は心配そうに微笑んでいる。
「牛尾から連絡があった。大分無理をしたそうだな」
「…ごめんなさい」
「次からは気をつけてくれ。何かあってからじゃ遅いからな」
さら、と髪を撫でる遊星の手つきは優しい。
心の中で牛尾にも謝って、リューナは身体を起こそうとする。
だが。
「っ…!!」
頭の痛みがそれを邪魔する。
二日酔いと呼ばれるその現象に見舞われた彼女を、遊星は懸命に介抱する。
「起きないほうがいい」
「…ぅ…」
「明日もゆっくりしていてくれ」
「…ええ」
目を閉じるリューナの顔はあどけない。
「ヴェルズ化待ったなしってどういうことかと思ったがな…無事で良かった」
飽きることなく彼女を眺める遊星も、やがて睡魔に襲われた。
------------------------------------------------------------
言いたいことを夢主に言わせられたので満足。
未だに大嵐禁止ハーピィ制限の意味が分からん。
←