悲喜交々
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※最終回後
※遊星とリューナは同棲しており、二人とも成人済です
※しっちゃかめっちゃかです
「よっしゃあああああああああああああああああああ私のタアアアアアアアアアアン!!!!!!!!」
「どっ…どうしたんだ一体」
パソコンを見ていたリューナがいきなり立ち上がり、大声を出してガッツポーズまでする。
皆と別れて数年一緒に暮らしてきたが、いつもの彼女なら絶対にしないそのリアクションに、遊星は非常に驚いた。
驚いた拍子に、手に持っていたマグカップからコーヒーがこぼれたが、それをリューナに言ったところで相手にされないのは目に見えていたため、彼は自分で雑巾を手に取った。
「ふふふ、遊星、これを見てもらえるかしら」
そういうと、リューナは自分が座っていた椅子の位置をずらす。
床を拭き終わった遊星がパソコンを覗きこむと、そこには今度から施行される禁止・制限リストが表示されていた。
「今年は禁止になるカードが多いんだな…それも征竜と魔導か」
「ひどかったみたいだからね…そうじゃなくてここ見て欲しいの」
示された場所を見る。
「氷結界の龍トリシューラ…制限…!?」
「そう!帰ってくるのよあの子!!あー長かったわ!」
そう言うと、リューナはデッキホルダーの一番後ろ、おそらく拾ったカードやサイドデッキを入れてある場所からいそいそと1枚のカードを取り出す。
次いでエクストラデッキを取り出すと、机に広げにらめっこを始めた。
「前々から帰ってくるかもっていう噂はあったんだけど、中々帰ってこなくて…」
「そうか…良かっt「「リューナ!!いるか!!!」」
バタアアアアアアンと壊れるんじゃないかというほどの轟音を立てて扉が開かれる。
二人がびっくりして、音の先を見るとそこには見知った顔があった。
「牛尾さん、ボマーさん!」
「見たぜ、トリシューラ解禁だってな」
「これで仲間が減ってしまうと思うと残念だが、良かったじゃないか」
「ブリューナクがまだ禁止だから完全な脱退ではないけど、それでも嬉しいわ」
「ちょっと待ってくれ、三人はどういう仲なんだ?」
三人で和気あいあいとしていることと、脱退という言葉に頭がついていけない遊星は、会話が盛り上がる前に彼らに問いかける。
「あれ、言ってなかったかしら」
「なんとなくわかるだろ?」
「…」
まるで察してくれと言わんばかりの三人の視線に、青年はたじろいだ。
一生懸命共通点を探すが一向に浮かばない。しばらくして、今日のリューナの様子から、一つの結論にたどりついた。
「…エースが禁止になってしまった会か…?」
そういえば半年に一度くらいの頻度でリューナがべろんべろんに酔って帰ってきていたな、と思い返す。
「うん、そうよ…」
牛尾とボマーは顔をそらす。察して欲しかったらしいが、実際に口に出して言って欲しくなかったらしい。
「じゃあ遊星そういうことで」
今からまさに出て行こうとするリューナに、遊星は声をかける。
「どこに行くんだ?」
「決まっているでしょう?三人で飲みに行ってくるわ」
もちろん施行された後にも行くけどね、と付け加え、足早に家から出ていく。
残された青年はポツン、と一人誰の姿もない扉を見つめるしか出来なかった。
一呼吸おいて、遊星の携帯が鳴る。
「…もしもし」
「遊星、黒い旋風準制限に戻るってな!俺の時代再来か!?」
「クロウ」
「あ?どうしたよ」
いつもより暗い友人の声色に、クロウは何かあったのかと心配する。
「…ワンフォーワンとフォーミュラ・シンクロンはいつになったら制限解除されるんだ」
「ねーよ」
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発表された時に書いたもの。
トリシューラさん大好き。
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