来たれ!次の機会
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1週間前、天気予報は晴れだった。
けれど、日が近付くにつれ曇りに、そして雨になっていった。
結論から言えば、天気予報は「当たった」訳なのだか、以前を知っているクロウとしては外れたも同然である。
部屋のベッドに座るリューナが気まずそうにしているのを天気のせいにして、クロウはその隣に腰掛ける。
「…わりぃな、折角日空けてくれたのに」
「いえ、私なら大丈夫」
たまには恋人らしいことをしなければと一念発起した彼が珍しくデートに誘って、OKしてもらって。
いざ、となったらこの始末である。
ちくしょーと心の中で雲を恨んで、手持ち無沙汰気味に部屋の中を見回す。
「貴方も働き詰めで、いい休息になるんじゃないかしら」
あああ、気を遣われた。
眉を下げ、クロウに笑いかけるリューナの雰囲気は優しい。
デートがふいになった悲しさはあるのだろうが、それを匂わせない彼女が大人に見える。
「ごめんな」
「気にしてないわ」
たまにはまったりもいいでしょうと言われてしまえば賛同するしかない。
デートも良かったが、こうしてのんびりするのも休みの醍醐味だから。
「…別に、私は雨でも良かったけど」
「濡れるだろ。風邪引いたらどうすんだ」
「…まあ、そうね」
気を遣ってくれているのは嬉しいが、あまり遣われると情けなくなる。
しとしとと降り続ける雨とにらめっこも飽きてきた頃、リューナは部屋を出て行った。
「…」
飽きられたか、と自嘲気味にベッドに沈む。
それをあざ笑うかのように雨足は早くなって、クロウの不機嫌さをも加速させた。
けれど、開けられた部屋のドア。
その音と開けた人物が辛気臭さを取り払う。
「クロウ、地図持ってきたわ」
「地図?」
ネオ童実野シティ全体の地図を広げ、リューナは顔を向ける。
「これで次行きたい所考えるのも面白そうと思って」
ぺらぺらページをめくって行くと、知っている場所だったり知らない場所がどんどん現れる。
魅力的なその提案に、クロウは笑って頷いた。
リューナには太陽が似合うから、晴れた日に出かけたい。
けど、部屋の中で二人きりも、すげぇ嬉しい。
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短すぎぃ!
本当はもっと長くするつもりだったんですが、ここまでで割とキリが良かったのでここまでにしました。
おうちデートと気付かない二人が初々しいということにしてください。お願いします。
多分続編でちゃんとデートするんじゃないかな…多分…
気が向いたりコメントあれば続き書きます!(逃げた)
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