04 | ナノ
「はぁ?普通に巨乳だろ!」
「ばっか見て美しい美乳に決まってんじゃん!でかいのはいいことだみたいな考え方は中学生まで!」
「お前中学生だろ!」
男子ばかりで集まると場合にもよるが大体こんな話になる。だが、胸は重視しないタイプの俺は話のネタがそっちに移ると次第に冷静になった。そして冷静になってしまうとテンション上がったせいで周りが見えなくなった奴らの声のボリュームが気になる。別に教室には俺たちしかいないからいいのかもしれないが、しかしこれ廊下まで響いてんだろ確実に。
女子とか通ったらどうしよう、とか思ってるところでふとドアの磨りガラスに影が射した。
「赤也」
音を立てずに教室に入ってきたのは生徒会の柳先輩である。あ、そうか先輩テニス部だっけ。それで赤也に用事か。
「ややややなぎさん!!!」
先程まで巨乳巨乳と騒いでいた赤也が顔を真っ赤にして先輩に駆け寄った。あまりの慌てように他の奴らは笑いを堪えるのに必死だ。
「随分楽しそうな話をしていたな」
「え、いやいや俺入ってないっすよ見てただけっす!!」
「柳せんぱーい。こいつめっちゃ巨乳好きですよ」
「ばっかお前余計なこというんじゃねーよ!!」
少し茶々を入れたら青くなって反論してきた。ん?普通ここって恥ずかしくって赤くなるところじゃないのか?なんで顔色悪いんだ?
「ふむ、なるほどな。済まなかったな、赤也。俺に胸がなくて」
「だ、大丈夫っす!そのままの柳さんが1番素敵っすから!!」
一体何が大丈夫なのか。
焦りすぎ慌てすぎ
(恋人にエロ本発見されたダメ男か!)
110424~110629