柳生と仁王 | ナノ ×
「柳生さん柳生さん、大変じゃ」
「おや、どうかなさいましたか、仁王くん」
机に向かって勉強をしていた柳生に声をかければ、くるりと椅子を半回転させて返事をしてくれた。その口唇は緩やかに弧を描いている。ああもう、こういうとこ大好き。んでもって大変だとか言いつつ俺の口の端も吊ってる。
「胸が痛いんじゃよ。びょーきかも知れん。じゃけ、柳生さんの親父さんとこに連れてってくれんかのぅ」
「それは困りましたねぇ。おそらくそれは私の父も治せません。それは四百四ある病のうちどれにも当て嵌まらないのですから」
「よんひゃくよん?」
はて、病気の数というのはそんな覚えやすい数字なのだろうか?悪ふざけの途中だということも忘れて真面目に首を傾げると、す、と目の前に国語辞典が差し出された。
「四百四病の外、というやつですよ」
恋わずらい
(ほう、お釈迦さまも粋なことを考えよるのう)((考えたのはおそらく後世の人でしょうが…))
110110~110211