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遠くに聞こえるチャイムの音に、意識がゆっくりと浮上した。まぶたを押し上げれば明るい青空を背景に小さな雲がひとつだけ浮かんでいる。
反射的にケータイに手をのばして時間を見れば、1時半。どうやら5限はもう始まっているらしい。


「あー…やっちまった…」


今日はサボらないつもりだったのに。
どうするか、今からでも出るべきか、それともこのままサボるか。
寝起きで回らない頭で迷うまでもないことを無駄に悩みつつ体を起こそうとすれば、そこでようやっと左腕の重みに気付いた。
ちゃっかりと俺の腕を枕に使っている赤也は口を大きく開けて熟睡していた。
これでは口が渇いてしまうだろう。しかたない、あとで何か飲み物でも買ってやるとするか。そう考えたところで、大変なことに思い至った。


「…………赤也サボらせてしもうた」


これはまずい。何がまずいって、もしこんなことがバレたら、あの3人が黙っちゃいないということだ。
あの3人は、各々表現方法は違えど、3人が3人ともこのルーキーを溺愛している。その愛情が欠片として伝わらないのは偏にその赤也には解読不可能な高度過ぎる表現方法にあると常々思うが、とにかくこいつに対して変なところで過保護なあの3人に知れたら、俺と赤也がどうなるか、想像に難くない。
どうせ奴らのねじくれた愛情は、部活のときにとんでもないメニューを課すなどという方向に向かうのだろう。何とか回避する策はないかと探してみるものの、あの3人に勝てるなら俺が部長になれるという結論に達し諦めた。
苦笑いしながら視線を下にやると、のんきに爆睡してる赤也がいて、なんだかまた眠くなってきた。
策がないならしかたない。今は放課後の部活に備えて体力を温存すべきだ。
寝起きの自分に甘い頭はそんな屁理屈を弾き出した。それに従うままゆるゆるとまぶたを閉じつつ、いまだ夢の中にいるその耳元に囁いた。



「おやすみ。いい夢を」