07 | ナノ
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「夢前〜?」


 おかしいなあ、と首を捻る。今日の飼育当番は三組の夢前と一組のおれだ。生物委員会では飼育当番のペアが決まっていて、おれと夢前は、一組の隣の階段前で待ち合わせて一緒に行くことにしている。だからいつも通り待ち合わせに来たのだけど、今日はその夢前が来ない。勉強はともかく委員会に対しては熱心な夢前は今までこんなことなかったから少し戸惑っていると、どうしたの?という聞き慣れた声に振り向いた。


「あ、上ノ島。」

「今日当番でしょ?行かないの?」

「いや、夢前が…」


 同じクラスで同じ委員会の、上ノ島だった。一クラス二名選出される委員会で一緒の上ノ島とは、それなりに親しい。だからこそ、階段前でまごついていたおれに声を掛けてくれたのだろう。だから、本来ならおれたちだけでなんとかしなければいけないことなのだろうけど、上ノ島にかくかくしかじかと伝えれば、ああ、と穏和な上ノ島にしては珍しく、荒々しいため息をついた。


「か、上ノ島…?」

「…今日は確か虎若が欠席だったな。」

「そ、そうなのか?」


 三組の佐武が欠席。同じ委員会とはいえ、あまり交流はないから、へえそうなんだ、くらいの感想しか抱けなかった。しかし上ノ島もなんで他クラスの、しかもペアでもない奴の出席状況なんか知っているんだろう。上ノ島のペアは確か二組の奴だ。


「仕方ない、今日はぼくが当番するよ。」

「え、夢前は?」

「今日は来ないよ。多分ロボコン部の部室にこもって八つ当たりみたいにからくり作ってるから。まったく、授業に出てるだけまだマシだけど、あの悪癖も早く治して欲しいよ。」



彼がいない日
(えっと、つまり?)(虎若がいないから拗ねてるだけ。まったく、虎若も三治郎に一言入れるくらいすればいいのに、団蔵にしか言わないからなあ。)(はあ…?)



120325~120525