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指先から愛が溢れる
「ひかる、スーパー行かへん?」
「めんどいんで遠慮し」
「ほらほら行くでー支度しぃ。」



 謙也くんの勢いに乗せられて、空調の効いたスーパーへと足を運ぶ。道中は暑さのせいかあまり言葉を交わさなかった。
 閑散とした店内を、謙也くんが押すカートの音がカラカラと響く。ぴた、音と右隣りにいるはずの人影が消えた。不審に思って振り返れば、完熟トマトを2つ手に取り、品定めしていた。(ほんまにマイペースな人や。)そう思いながら近づいたら、謙也くんはパッとこちらを向いて笑った。


「ひかる、なに食べたい?」


 考えてなかったんかい。はぁ、と思わず溜息をついた。その意図がわからなかったらしく、へ?と間抜けな声をあげた謙也くんを余所に、俺は考えを巡らせた。どうせだったら二人で作りたい。なにが1番楽しめるだろうか。結局、カレーという考えに落ち着いた。


「カレー」
「暑。ま、ええか。ほな、ルウと玉ねぎとじゃがいも、人参は家にあるので足りるやろな、あっ牛乳ないんやっけ、あと……」


 二人で手分けして食材を選ぶ。カゴに入れるときに、形が悪いだのなんだのと文句を言われた。俺を連れてきた謙也くんが悪いのだ、ぶつぶつ言われても困る。そんな責任転嫁をして、惣菜売り場へと逃げた。

 惣菜売り場でサラダを物色していたら、カラカラとカートを鳴らして謙也くんが近づいてきた。頬のあたりが擽られている感じがして、謙也くんが俺の肩越しに商品を見ていることが分かった。端から見たら、どう見えるんだろう。そんなことを考えたら恥ずかしくなってきて、顔もあつくなった。
 ぞわ、と急に右脇腹のあたりから変な感覚がしたと思えば、謙也くんの手がそこから伸びていた。無意識なのか、それとも。とにかく早くこの状況から脱したくて、どれが良いかと尋ねた。


「ん、マカロニサラダがええ」
「ほなこの2種類入っとるやつ買いましょ、俺はポテサラ食べたいんで」
「おん」


 ようやく離れた身体に安堵して、気付かれないように呼吸を整えた。そのままレジに行って会計を済ませ、店を後にした。



「ひーかるっ」
「……なんすか」
「レジ袋、持ち替えてくれへん?」
「は……?」
「ええからええから!」


 謙也くんが何をしたいのかが全く分からず、無抵抗のままレジ袋を左から右へと持ち替えた。謙也くんはそれを確認すると満足したように笑い、自分のレジ袋を右から左へと持ち替えた。

(あ、もしかして)

 謙也くんは自由になった右手で、俺の宙ぶらりんな左手を掴んだ。そしてまた満面の笑みを見せ、俺の腕ごとぶんぶんと前後に振った。


指先から愛が溢れる







すばちゃん、素敵な記念小説ありがとうございました!upするの遅れてごめんね(;>_<;)
こんな私ですが、これからもよろしくお願いします◎



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