爆豪くんとお買い物(爆豪/10万打)
「あ、これかわいい。ちょうだい」
「ア゙?」
日曜日、朝。新作のリップがばちばちにかわいくて、ちょっと先生に駄々っ子したら渋々外出許可をもぎ取れた。神野の件があって、私と爆豪くんの二人はなかなか外出ができないので、ついでに爆豪くんにも声掛けて行ってこい、夕方までには帰れよ、と言われた。なので爆豪くんの部屋に呼びに来た次第だ。要件を伝えて整理整頓された部屋に踏み入ると、ハンガーで吊るされたロゴパーカーがかわいいから物乞いしてみた。怪訝に眉を寄せた爆豪くんに、お〜ねがい、と両手を揃えて猫のようにくいくい動かすと、キメェ、とシンプルに罵倒された。キモくないだろ! それからガシッ、と頭を鷲掴まれる。アイアンクローだ。いたい。
「乞食かてめェ。つか入ってくんな」
「え〜、かっちゃん準備できるまで暇じゃん」
「着替えンだよ! 出てけや」
「じゃあこれ貸して」
「……借りてどうすんだよ」
「え? 着る」
借りたら着るでしょ。メンズライクコーデだ。私はもう出る準備バッチリだったけど、幸いこのパーカーの色味にも合いそうなメイクだったからラッキーだ。アウターだけ爆豪くんのやつに変えよ。黒地に爆豪くんのコスみたいなオレンジのロゴが入ったパーカー。髪の毛上でおだんごにしよ。失敗すると三国志になるやつ。
「爆豪くん?」
黙り込んでしまった爆豪くんを下から覗く。なんでナウローディングしてんの? 目が合うと、チッ、と舌打ちをされる。そのままパーカーを押し付けられた。
「さっさと着替えて下。5分」
「え〜30分!」
「遅ェわノロマ」
げし、と部屋を蹴り出される。借りていいみたいだ。相変わらずツンデレの王道行ってるなあ。5分は無理だけど、急いで着替えて来よ。
デカパーカーだから、下はショートデニムにした。ハイカットのスニーカーと、リュック……んー、ボディバッグにしよ。巻き下ろしていた髪の毛はくるんと上でお団子にして、引き出して解す。後れ毛だけぴょろっともう一度巻いて、慌てて下に降りると、すでに準備万端の爆豪くんが待っていた。あと切島くんと瀬呂くんと眠そうな上鳴くん。
「おまた〜」
「遅ェ」
「あれ、緩名も出かけんの?」
「えってか爆豪と出かけんの!?」
「デート行ってきま〜」
「デート!? 」
「出た恋バナ妖怪」
立ち上がって玄関へと歩き出す爆豪くんを追いかけると、どこからか三奈がシュバっと現れた。我が友面白すぎる。恋バナ大好きかよ。後で詳しく聞かせてー! の声をBGMに、もう靴まで穿いている爆豪くんに慌てる。早いって。
「こっちだろ」
「え? まじ?」
「カジュアルすぎて芋」
ギャルかよ。スニーカーにしようとしたけど、爆豪くんがマーチンのブーツを指すのでそっちにする。うん、かわいい。
電車に乗って、大きめのショッピングモールへ。一応別行動は許可されてないので、爆豪くんの腕をガッシリ掴んで引きずった。
「爆豪くんなに買うの?」
「別に」
「エリカさまかよ」
「誰だよ」
エリカはエリカだよ。なになになになに、としつこく聞いたら、うるせェ! と吠えられて、がっしりと手首を掴まれてスポーツショップへ連れていかれる。インナーのサイズ感を確かめたいらしい。あ、ちょうど良かった。
「ねえ、どれが美味しい?」
「味で決めんな」
「だって美味しくないの飲めないもん」
プロテイン、一応たまに飲むけど、なかなか個人的好みを引けないんだよね。とはいえ、筋肉付きにくいのは個性の影響なので、参考程度にしか飲まないんだけど。少し考えた爆豪くんが、これとこれ、と私に二つのプロテインを持たせた。ついでに自分の分も買うみたい。ムキムキだもんね。決めてあったのかインナーを数点、ジッ……と見比べてからカゴに入れた爆豪くんに続いて、私もレジへ並ぶ。ヒーロー科、実技授業以外にも自主練とかも多いので、スポーツインナーは必需品だ。洗濯しても洗濯しても追いつかないみたいなとこある。特に爆豪くん、汗が個性のキーだから、めちゃくちゃいるだろうなあ。
「じゃ、つぎ、ごー!」
「なに見んだよ」
「ここ! マダガスカル」
私の渾身の宇宙海賊は無視された。ひどい。
スポーツショップを見て、ちょうど斜向かいの斜め下あたりにあるコスメブランドのショップを指差す。全然ちょうどじゃない。うげ、って顔をした爆豪くんを再び引っ掴んだ。
「クレープ食べたくない?」
「ア? 坦々麺」
「最高」
「いいンかよ」
エスカレーターを降りながら、目に付いたクレープ屋さんを指差すと、爆豪くんは反対のラーメン屋さんを親指で指した。坦々麺、いい。食べたい。辛さ調整できるみたいだし坦々麺で決定だな。後でだけど。
「……他見て、」
「えーっ、やだ」
「やだじゃねンだよ……!」
「せっかく一緒に来たのに?」
今日来たショッピングモールは、デパートではなくアウトレットとかあっち系のショッピングモールに近い。ので、よくあるコスメブランド単体のお店ではなく、いろんなブランドが入っているショップだ。あまりにも見た目がキラキラしいのを見て、爆豪くんが別行動しようとしたが、だめ? と眉を下げてお願いしてみた。
「……てめェ、それかわいいと思ってやってンのか」
「え? うん」
「……ハァ。さっさとしろ」
「わーい、かっちゃん愛した」
ラブだ。若干disられてた気がしないでもないけど。それはそれとして、買うものも決まっているので、目的の商品をきょろきょろと探す。あ、あった。流石新商品。幸いなことにタッチアップカウンターも空きがあって、直ぐに案内された。着いてきた爆豪くんが横に座る。ふふふ、借りてきた爆豪状態。お色味ご用意しますね、とお姉さんが用意してくれている間に、卓上のパンフレットを手に取ってパラパラと眺める。うん、SNSで見たからやっぱ知ってるわ。携帯でも開こう、としたら、爆豪くんが私の肩に鼻先を埋めてきた。え、距離が近い。どしたの。
「くせェ……」
「こら」
なんだと思ったら、化粧品の匂いにやられたらしかった。あ、それは申し訳ない。わかる、慣れてないと確かにきついよね。配慮不足だったわ、ごめん。出とく? と聞くと、いい……と覇気なく返ってくる。その代わり、とでも言うようにグリグリと鼻を押し付けてきた。自分の匂いがするのかな。
「お……、待たせ致しました〜」
「あっはい」
「素敵な彼氏さんですねぇ」
「あはは、そうなんです」
私、と私にびったりくっついて来ている爆豪くんを見て、店員のお姉さんがビクッ、と身体を揺らした。それでも、ニッコリ笑顔になって接客を続けてくれる。プロ〜。否定しても面倒臭いので、肯定すると私の腕を掴んでいる爆豪くんが小さく跳ねた。特に反論とかはないので、まあいいんだろう。
それから、タッチアップはわりとすんなり終わって、お会計。ポイントカードに残念ながらポイントが付かないタイプのお店だ。かなしみ。その間、爆豪くんはずっとじっと私の肩に鼻先をくっつけていた。そんな臭い? 慣れだな。今度私と三奈の部屋で放置したろ。鬼。
細長いショッパーに、新作のリップ二色。それから試供品をいくつか。ハッピーになってお店を出て、爆豪くんの手を引いた。
「坦々麺いこ坦々麺」
「鼻がくせェ」
「言語野イカれた?」
綺麗にとんがった鼻先をぐりぐりと手首で擦っている。お化粧品のお店、わりといい匂いだけど、確かに子どもの頃はババアの匂いだ! とはしゃいだ記憶があるかもしれない。あるな。
「あっち」
「……てめェ地図も読めねェんか」
「は? 読めるが」
「こっちだろ」
「あれ? 地図無理かも」
「雑魚」
「ザコだもん」
あっちだ! と指をさして歩き出したが、どうやら反対だったみたい。一回お店入って出ると方向わかんなくない? わかんない。京都人以外の人類方向感覚ないと思うの。
ラーメン屋さんに入ると、お昼時を過ぎたからか人は疎らで、二人がけのテーブル席に向かい合って座る。辛さが選べるタイプのかしこいラーメン屋さんだ。最高。メニューを見比べると、一番辛くないやつは角煮が、普通に辛いやつにはそぼろ肉が。鬼バカ痔確定ラーメンにはチャーシューが乗っているみたい。
「ん〜」
「はよしろ」
「違うの、辛くないやつがいいけど辛くないやつそぼろじゃなくて角煮なの」
「……トッピングで変えれねェのか」
「あ、いけそう天才。すいませーん」
店員さんを呼んで、これとこれ、と指で示しながらオーダーする。爆豪くんなに頼むか聞いてないけどどうせ一番辛いやつだし。
「ね、見て、ライチ酢だって。……うわ、めっちゃすっぱい匂いする」
「さっきンとこよりマシだわ」
「え〜、そんな臭かった?」
慣れって怖いかもしれない。
運ばれてきた坦々麺は、私はもう赤ちゃんじゃんみたいな良心的な色合いのスープ、対して爆豪くんのは赤いを通り越してもはや黒のスープだった。黒色くんいたら個性使用出来るくらいには黒い。若干香りで鼻痛いんだけど。いただきます、と手を合わせて、割り箸を割った。爆豪くん、こういう所作が綺麗なんだよね。育ちの良さが出ている。
「からい」
「ンな辛くねェだろ」
「いや、もう爆豪くんのは見てるだけで汗出る」
だってやばい。まじで。香辛料の余波だけで私の脳に影響あるレベルで辛い。でも、悲しきかな人間とは好奇心が旺盛すぎる生き物である。
「ひとくち〜」
「……ン」
「わあい」
ひとくち乞食をしたら、少し丼をこっちに出してくれた。いつ頃からかはわからないけど、爆豪くん私にめっちゃ甘くなってるよね? 指摘したらキレられそうだから言わないけれど。赤いレンゲにスープを少し掬って、麺をくるっと巻いて置いた。ミニミニラーメンにふー、と息を吹きかけて冷ましてから、一口。すすらないように、
「ごフッ」
「ふっ」
「お゙ふっ、けホッ、ん゙っ、っぐ」
無理。もうね、身体中が刺激物だって訴えかけてくる。なんとか口の中の物は噴き出さずに済んだけれど、いろいろと吹っ飛びそうになった。尊厳ギリセーフだ。舌が痛い、し、なんか謎の顎痛がきた。あ、背中も痛い。なにこれ? いたたたた。平気な顔でラーメンを啜る爆豪くんは、噎せて死んでいる私を見てくつくつと笑っていた。怒る。
「からっ、あ、背中いたァ!?」
「なんでだよ」
「いや、もうまじわかんない、は? ごほっ、背中痛来てる」
「どうなってンだてめェの身体」
「ねえみて、ほら、涙」
「ハッ、ぶっせ」
「なんてこと言うんだ!」
涙とか汗とか唾液とか、諸々がやばかった。二度と爆豪くんの激辛シリーズには手を出さないでおこう、と決意するけれど、多分一週間経ったら忘れてる。せっかく綺麗に塗ってもらった、新作のリップは全部とれちゃった。塗り直しとこ。ちなみに、爆豪くんは私の少し伸びた坦々麺を食べて、「甘ェ」と言っていた。甘いは嘘なのよ。
「ね、私あれ見たいんだけど、どする?」
「……ア゙?」
ラーメン屋さんを出てフラフラと徘徊していたら見つけたあれ。キラキラと繊細なレースが立ち並ぶ、いわゆるランジェリーショップだ。かわいい。爆豪くんの声が一気に低くなった。ま、流石に男子高校生、入れないよねえ。
「……別行動でいいだろ」
「え〜」
「15分」
「ん、25分」
「てめェが伸ばすんかい」
「今日ツッコミ多いね〜!」
「店の前にいろ」
二人きりなので否が応でもせざるを得ないんだろう。まあ無視されたが。さっさと歩いて行く爆豪くんを見送って、私もランジェリーショップへ入る。下着の寿命はだいたい半年くらいって言うし、いくつあってもかわいいからいいよね。服のラインに響きにくい、飾りの少ないシンプルな物を一つと、Theデザイン重視のソーキュート&リトルセクシーな物をひとつ。前世よりもいろいろな体型の人がいることもあって、サイズ展開はなかなかに豊富だ。お値段はそれなりにするけれど、下手したらインターンだけで前世の年収超えれそうなくらい貰っているのでわりと無問題。ヒーロー最高。
「あ、」
シンプルな黒地に、オレンジのラインのアクセント。メッシュ素材なのかな? シンプルだけど透け感でセクシーさもあり、オシャレだ。なにより、爆豪くんのコスにもちょっと似ている。え、かわいい。買っちゃおうかな。
「そちら今大変人気なんですよ〜!」
「そうなんですか?」
「そうなんです!」
そ、そうなんだ。声をかけてくれた店員さんによると、スタイリッシュなデザインが米国で大ウケで少数日本にも入ってきたらしい。へ〜。かわいいもんな。お預かりしますね、と言う店員さんに購入予定の物を渡した。ショーツのタイプは4種類。ベーシックなもの、ボクサー風のもの、サイドリボンになっているもの、それからTバックのものだ。それぞれ少しデザインが異なっていて、この中なら、うん。
「ボクサーとTのやつにしよ」
「はい、ご試着なされますか?」
「ん、結構サイズ感違いますか?」
「そうですね、やっぱり海外のものなので、普段付けているものよりワンサイズ落とした方がフィットする方も多いです」
とのことなので、サクッと試着。店員さんの言う通り、ワンサイズ落とした方が確かによかった。計三つ、購入したところで、案外すんなり選んだからそこまで時間が経っていないことに気付く。ま、外で待ってよ。言っても10分くらいだし。
お店の外は花壇になっていて、草が生えている。花じゃないんかい。季節的なあれだよね。あ〜、クレープなに食べよ。迷う。スマホを開いて見ると、メッセージの通知が数件。三奈からは「進捗どうですか?」と着ていた。原稿中の同人作家みたいなこと言うじゃん。とりあえず自撮りと爆豪くんのラーメンの写真を送っておいた。ふと、視線を感じて顔を上げると、これまたもう現代っ子のチャラそ〜な男の二人組が。うわ、目合わせちゃった。こういう時目合うと絶対寄ってくるよね。ポケモントレーナーより厄介。声かけられたらめんどくさいな〜、と思って距離を取ろうとふらふら歩くと、近付いてくる。拳で対抗したい。
「ね、めっちゃかわいいね君」
「暇してるよね? 奢るから飯行かん?」
発声されてしまった。ワンアウト。無視をするけれど、こういう人が「奢るから」って言うのなんなんだろうね。それは当たり前に大前提だろって思わない? な〜んでクソしょうもないナンパ人間に一銭でも払わないといけないんだって思うの心が狭いのかもしれない。はらいたまえきよめたまえ……イワコデジマイワコデジマ……。逃げる私、追うナンパ男達。カルガモじゃないんだから。
「聞こえてるっしょ返事くらいしろよ」
「そんな怯えないで、マジで俺ら優しいからさ? ね?」
うっぜ〜! 怯えても聞いてもないんだよ。腹立つけど無視。私がひよっこヒーローじゃなかったら絶対くっさ、って言ってたわ。人間一番傷付くのは臭いだからね。いい子は覚えてね。
「なあって!」
「いい加減に、」
「ァにしてンだ」
伸びてきた手に掴まれるほどヤワではないが、避ける前に聞きなれた超絶不機嫌な声がその手を遮った。ヤダ、乙女ゲームの定番みたいな展開になってる! と思ったら、爆豪くんに肩をぐいっと引き寄せられる。私の方は一瞥もせずに、チャラナンパピーポにメンチを切る爆豪くん。ワンチャン美人局っぽいな、この状況。
「おわ」
「何してンだって聞いてンだよゴラ」
「……ッチ、なんだよだりィ」
「行こうぜ」
凄む爆豪くんに気力が削がれたらしい二人はすごすごとしっぽを巻いて逃げて行った。へへざまぁ〜。
「ナイス豪先輩」
「ぼけっとしてっから絡まれんだボケ」
「あたっ」
ハア、とため息を吐いた爆豪くんに、ペチン、と額を弾かれた。ちょっと痛い。
「してなくない?」
「顔面がボケてンだわ」
「それはもう喧嘩なのよ」
ていっ、と拳を突き出すと、爆豪くんの腹筋にぽすんと当たった。やだ、カチカチ。板チョコよりバキバキだ。
「クレープたべて帰ろ」
「もういいんか」
「ん、……あ、お土産みたい」
「ンなもんいるかよ」
「いるいる」
女子会用のお菓子買って帰りたい。いいやつ。
クレープスタンド、流石に品揃えが豊富で、少し迷ってしまう。また迷ってンか、と爆豪くんに呆れられてしまった。でも迷うんだもん。
「どれで迷ってんだ」
「これとこれとこれとこれ」
「……せめて二択にしろや」
「だってめっちゃ多いんだもん」
二択って難しいよね。んんん、と迷って、これとこれ、と二択まで絞る。アップルシナモンバターか、ホットチョコバナナ。ちょっと珍しめのやつ食べたい。って言うと、爆豪くんがさっさとレジに言って、その二つを注文してしまった。
「え、優豪くん!?」
「脳ミソ叩き割られてェんか」
「グロいしこわい! ……ごちそうさまで〜す」
「……おー」
奢ってくれるらしい。今世紀最大のデレでは? デートでは定番のシチュエーションではあるけど、まさか爆豪くんがそういうことをしてくれるとは……いや、爆豪くんって実は結構常識的だし優しいんだよね。人の頭を打楽器だと思ってるとこはあるけど。
「オラ」
「わあい」
あったかいホットチョコバナナを手渡されて、近くのベンチに並んで座る。あったかクレープってなかなか食べないけど美味しい。チョコ熱くて若干火傷しそう。
「ん、食べる?」
「あ」
「ちょっと熱いよ」
「ヘーキだわ」
爆豪くんがデッカイ一口で齧っていった。ん、と差し出されたまま固定されたアップルシナモンバターも、ちょこちょこと齧っていく。うん、シナモンも美味しい。やっぱ人類はバターの前では無力。
「爆豪くん甘いもの結構食べるよね」
「あるもん食うだろ」
「それはそう」
うちの寮では砂藤くんのお菓子教室が頻繁に開かれているし、私とか百も結構作る。エリちゃんと一緒にとかね。しかも、インターンの差し入れとか有難いことに応援してくれるファンの人とかからもいろいろと貰うので、お菓子に困ることがない。常になんかある。育ち盛りの男子高校生らしく、爆豪くんも食べている姿をよく見かけた。
「帰ったらスコーン焼こうかな」
「……まだ食うんか」
「別腹なので」
「腹出ンぞ」
「でません〜」
ペラペラです〜。暴飲暴食は若いうちに楽しめって前世の私も言ってる。食べきったクレープの髪をゴミ箱に捨てて、さて! と立ち上がった。
「飴とマシュマロとグミとクッキー買って帰ろ!」
「……本気でデブんぞ」
そう言いつつも、スイーツ選びになんだかんだ付き合ってくれる爆豪くんなのだった。彼氏か?
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