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 私の個性は、『バフ』。簡単に言うと能力の強化だ。一口に強化と言っても強化の仕方も色々あるし、なんなら劣化、デバフの方も使える。めちゃくちゃ便利だしなかなか強個性、なんだと思う。他人の個性をそこまで詳しく知らないけど。
 身体を軽く、更に脚力を強化して、位置についた。

「わっ、あの子はやっ!」
「個性使ったようには見えなかったけど……強化系の個性か?」
「ていうかめっちゃかわいくね?」
「おっぱい……」

 結果は4.06。まあまあじゃないだろうか。もう少しいけるような気もするけど、50mならやっぱり勢いに乗るほどの距離じゃないから難しい。それにしても個性一瞬で系統見破られたな〜。隠していたわけじゃないからいいんだけど。小さい男の子の視線が痛いと思ったら、なるほど、そういう系ね。思春期だなあ。
 オツカレ、と話すタイム測定器がちょっとかわいい。

「おつかれ〜」
「! おつかれ! ねえねえ、今個性使ってた!?」

 中入れ、とかかった声に合わせてゾロゾロと体育館へ向かう。近くにいた全身ピンクの角の子に声をかけると、思ったより勢いよく食いついてきた。おお、元気。いいね。

「やっぱり強化系なの? あ、アタシ、芦戸三奈! よろしく!」
「緩名磨。好きに呼んでね。よろしく〜」

 三奈の個性は『酸』らしい。私の個性については、強化系だけど詳しいことは当ててみて、とクイズにしておいた。説明がめんどくさかったわけではない。断じて。
 体育館に入ると、すぐに第2種目が始まる。そういえば三奈の話によると、雄英には複数の体育館があるらしい。雄英、設備まで財力を見せ付けてくる。

「やっぱ強化系、強いな〜」
「私は三奈の素の身体能力に驚いてる」
「へへー運動得意なんだー!」

 ピピッ、と鳴った測定器を見ると、99kgの文字。ああー、あと1、惜しい。腕力しか強化していないので、まあこの程度だろう。バフのかかり具合にもよるけど、元の身体の身体能力に見合った効果が出るので、こういうシンプルな測定の場合は鍛えれば鍛えるほど強くなる。私の身体は、どうやら常に治癒力向上のバフがかかっているようで、怪我をしてもすぐ治るが、筋肉がそもそも付きにくくなってしまっているみたいだ。疲れにくいし不便も全く感じないしいいんだけど。

「うあー頭グラグラする」
「磨、反復横跳び苦手なの?」
「なんか混乱しない? 今どこ! ってなる」
「あー分かるかも!」
「いや、透のは見てるこっちが混乱した」

 再びグラウンドに戻って、立ち幅跳び、反復横跳びとこなす。反復横跳び、なんか頭混乱するよね。足こんがらがりそうになる。道中で知り合った透明の女の子、透の反復横跳びはどこを見ればいいのか分からなくて余計に混乱した。どうでもいいけど、透って名前めちゃくちゃかわいいよね。好きだ。



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