22
第三関門、怒りのアフガン。ネーミングセンスわりと好きかも。音と見た目は派手だから失禁必至らしい。人によるらしい。
「地雷原かあ」
いつの間にか3位に躍り出ていたようで、少し前にはお互いの妨害をしながら走る轟くんと爆豪くん。足の引っ張りあいしてやんの。それにしても、地雷原。危険のない地雷原走るチャンスなんてまずなくない!?ワクワクしてきたんだけど!音大きいのはめっちゃびびっちゃうから、自分の聴覚にデバフをかける。脚力は強化したまま、ヨシ!
「うわはははは!たーのしー!!」
『1-A緩名!地雷原を特撮映画のように駆け抜けるー!!こいつぁシヴィーぜ!』
「やっぱ狂人だろ、あいつ」
衰えているはずの耳に私の悪口が聞こえた気がするけど、無視無視。ドカン!ボカン!と私の後ろで派手に爆破が起きる。足速いから余裕なんだけど!むしろ爆風で背中を押されて、よりスピードアップだ。
「きゃあああー!あははははは!」
『自分で爆破させときながらなんでキャアキャア言ってんの?』
『よく見ろ、あれは爆笑だ』
『マジかよ!クレイジー過ぎんぜお前の生徒』
『アレは特殊だ……』
地雷原楽しすぎる!雄英常設してくれないかなあ。飽きるか。後で知ったけどこの時先生は頭を抱えていたらしい。なんかごめん。
足の引っ張り合いをしていた目の前の二人が、迫り来る私に気付いて振り返ってきた。マジかこいつ、みたいな顔をしてる。マジです!
『先頭二人に緩名が追い付いたー!!足の引っ張り合いをやめるのか!?』
「来んなこのイカレ女!」
「緩名、おまえかなり怖ぇぞ」
「ええー!?なんてー!!」
なんか喋りかけられてるのは分かる。けど今耳ほとんど聞こえないんだ。ただでさえ爆音でうるさいし。耳に手を当てて聞こうとすると、足元に氷、目の前に爆発の熱が迫った。
「なに!?なになに!?」
「チッ、避けんなこのクソが!」
「っクソ……!」
「だからー!聞こえないのー!」
「ボケ老人かこの……っ!」
足元にデバフを、身を反らして爆発を避ける。前鈍間って言われたけど、意外と運動神経いいんだからね!爆豪くんに迫ると、BOOOOM!!と後方から爆音が響いた。流石に聞こえた。
「緑谷くんだ……」
盛大な爆風に乗ってぶっ飛んで……いや、追い抜かしてくる緑谷くん。すごい。爆弾魔だ。いいな。
「デクぁ!!俺の前を行くんじゃねえ!!」
爆豪くんが緑谷くんに飛んでいく。君ほんとに緑谷くん好きね。轟くんが地面を凍らせて走り出した。もしかして和睦した?
三人の背中を追いかける。着地しそうになった緑谷くんが、持っていた板を振りかぶったのを見て、反射的に三人の後ろから逸れた。
「凄いことするな〜!」
爆豪くんと轟くんが緑谷くんを追い抜かした瞬間、板を地面に叩きつけて、反動と爆風で再び先頭に躍り出た。少し離れて走っていたけど、地雷原を抜けてしまった。ああ、残念。
『さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!?今一番にスタジアムへ返ってきたその男ーー……緑谷出久の存在を!』
地雷原から離れて、聴力のデバフを解除する。緑谷くん、それにちょっと遅れて、轟くん爆豪くんの後ろをゴールした。はあ、ふう、と息を吐いて、少し荒くなった呼吸を整える。4km、長い。まあでも四位!一位じゃなかったのはちょっと残念だけど、そこそこ良い方じゃないかな。
PREV |NEXT