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講評では概ね好評をいただいた。ダジャレか?
ただ諦めが早すぎる、と言われたので、今後は心を強く持ちたいと肝に銘じておく所存。
というわけで、
「お疲れさん!!」
オールマイトの初めての授業は、わりといい感じに終了した。自立するのがまだしんどいので、百に支えられながら立っている。百はなにやら峰田くんとのペアで一波乱が起きたらしく、少し落ち込んでいた。よしよしと頭を撫でると、不思議そうに微笑んで頭を撫で返される。かわい〜。
「緩名少女!」
「はあーい」
「少しいいかい?」
「はーい」
「では! それ以外の皆は着替えて教室にお戻り!」
オールマイトに呼ばれて近寄ると、抱えあげられて、バヒュン! と勢いよく走り出された。いやはやいはやい。絶叫系そんな得意じゃないんだけど。用事を言え。安定感はあるけど普通に速すぎて怖い、と思っていたら、オールマイトが咳き込んだ。そっか、制限時間、ギリギリだ。
「何で止めてやらなかったオールマイト!!」
保健室、オールマイトが怒られているのをBGMに、緑谷くんに個性を施す。人が怒られてると自分が全く悪くなくてもちょっと縮こまっちゃうよね。怖いからカーテンを閉めて話を遮った。なんか多分重要っぽい話をしてたし。まあ私もフラフラだから頭に全く入って来てないけど。寝転がったらちょっとは回復しやすいから寝転がっていいかな? リカバリーガールにきいたらいいよ、って言われたから緑谷くんの隣に寝転んだ。
体力のない人相手にはリカバリーガールの個性が使えない。妥協策としてのフラフラで今はみそっかす程度しか回復出来ない私なんだろう。緑谷くん、怪我やばいもんね。昨日ぶり2回目。あー寝転がってたら普通に寝そう。ギプスの巻かれた、指先だけ露出している肌に触れて、じわじわと個性を施す。効いてんのかなー、これ。寝そう。マジで。いや、寝るわ。
「うわあああああ!!!!」
「どうした緑谷少年!!!!」
「び! っっっっくりしたあ……何……? 敵襲?」
うとうと、微睡んでいたらいきなりの大声に叩き起された。何!? と飛び起きたら、嘘、寝転んだまま横を向いたら、顔を真っ赤にして、それから真っ青にして、目が合うとまた真っ赤になる緑谷くん。マジで何? オールマイトがシャッ、とカーテンを開いて、リカバリーガールが呆れたようにうるさいよとため息を吐いた。
「もう腕のギプスは外せるぐらい回復してるけど、回復したては骨が柔らかいからね。念の為明日にするよ。明日の朝また来なさい。緩名に感謝するんだよ」
緑谷くんの様子を見て、点滴を外しながらリカバリーガールが言う。ほら、ペッツお食べ、と手のひらに出されるそれを口に放り込んだ。寝転んだまま食べるんじゃない、と注意されたのでしぶしぶ体を起こす。ああー全身が重い。緑谷くんは私を見て真っ赤になったまま、制止してしまった。朝のやり直しかな? うける。
「緑谷くん、ペッツ」
「……は!」
「あ、戻ってきた。ペッツくれたよ」
「あああああ緩名さん、なんで横に、……ッ!」
「んえ? ああ、緑谷くん治療するのにね、眠かったからさ〜寝転んでたの」
「ね、ねころんで……添い寝……女の子と、添い寝……」
俯いてブツブツ呟く緑谷くんに、オールマイトを見ると、こりゃダメだ、とでも言うように首を振られた。
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