act13 部活動の中身






「あ、瑞香、来月地区あんの知ってるよね?」

「知らん!!!」



初耳だ!と、瑞香はきっぱりバスケ部員の友人に返した。
部活に入る前から仲良くしていた子が多く瑞香は数日ですっかりバスケ部に溶け込んだ訳だが、初めて聞く情報に目を丸くした。



「瑞香にも出て貰うから!」

「ええ?!」



入ったばかりな上にあまりこの部活に長いこと居ることも出来ない瑞香はすっかり応援気分で居たのだが、試合に出させると聞いてうっかり制汗剤を手から落としてしまった。
そんな瑞香を見て同学年の部長はあははと豪快に笑ってみせた。



「長いとか短いとか好きじゃないんだ、三年は全員出すよ。それにどうせなら勝ちたいからね!瑞香強いし」



欲張りだからさ。そう言ってバスケ部連中は部室でまた綺麗に笑った。
(……何か、)眩しい奴らだなぁと瑞香は彼女たちを見た。どこかで見たことがあると思いながらも、瑞香は笑って、ありがとうと言った。













「…理沙……そんなんでマネージャーなんか出来るの?」

「…今日改めて無理かなと思ってきた」



ところ変わってこちら三年C組の教室。瑞香の席とその前の席に座り理沙と優子は話していた。
会話の内容はというと、まぁ簡潔に言えば理沙の今後についてである。

マネージャーと言えばここの学校で何をするのかは分からないが、前の世界の学校のマネージャーは差し入れに飲み物やら食べ物やらをくれたのだが、理沙はそこらへんがてんでダメなのである。
瑞香が用意してあった朝食と弁当があったのだが、たまには自分でやってみると言ってやってみたところ見事失敗という朝から残念な結果が待っていた。結局瑞香が作ったお弁当を手に登校してきたのだ。

跡部から言い渡された来週、という日は本日である。今日からマネージャーが始まるのだが、果たして大丈夫なのだろうかと優子は自分のことながら心配になっていた。




「あれ、何で俺の席にいんの?」

「あ、瑞香おはよう」

「おはよ優子」




腰にカーディガンを巻いて颯爽と現れた瑞香に優子は爽やかに挨拶をした。理沙はまだううんと悩んでいるため、挨拶を交わすことはなかった。
瑞香は優子から事情をきいて、そんなことかよ、と脱力した。料理が出来ないなんて前からだろう、と。



「あー、そういや今日からだっけ?まぁ頑張って」

「瑞香手伝いに来たりしない?」

「笑いには行ってやる」

「瑞香ウザいー!」

「でも瑞香もこれから部活忙しくなるんでしょ?お互い頑張ろうね」



優子が柔らかくそう笑えば、瑞香はうんと素直に頷いた。
何故もうすぐ大会があるのかということを知っているのかは敢えてスルーさせて頂く。



「つーか聞いて、今日AとC合同体育なんだけどさ、競技がハンドとバスケなんだよ!」

「マジでか」

「跡部叩きのめす!」

「また跡部くん?」



実は結構仲良いと思うんだけどなぁ、と優子は理沙と話す瑞香を見ながら思った。
こちらに来てほぼ毎日のように跡部と顔を合わせては喧嘩をしているらしく、それはA組かC組で毎回行われているそうだ。

どちらかが何かしらの用事でお互いのクラスに足を運び、口喧嘩をしてチャイムが鳴る直前に帰っていく。最近は皆面白そうにそれを眺めるだけで止めようとする人はいなかった、跡部に反抗的な女子が珍しいようだ。



「あ、そろそろ鳴るかな」

「おお、戻ったほうが良いんじゃね?おら理沙立て!」

「はっ……うん起きた起きた!じゃあ瑞香体育のときねー!」

「後でね、瑞香」



そう言いながら二人はC組から出ていった。(つーか…別にCで話さなくても良くね?)微妙な疑問を浮かべつつも、もうすぐ鳴るであろう本鈴に備えて瑞香は席についた。







→next








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -