「リノだったよな。俺はフォックス!」
「俺はファルコだ」
「俺達はこれから予定があるから今日は協力できないが……何かあれば遠慮無く言ってくれよな!」
突然声を掛けてきたと思えば、フォックスとファルコは返事を返す間もなく食堂を出ていってしまった。
くそっ、あの尻尾モフモフしたかった…!
…気を取り直して。ルフレとルキナと別れ、新たにリンクとシュルク、アイクが道案内してくれる事になりました。
食堂には先程のフォックスとファルコで最後だったみたいで、誰も居なくなった食堂を後に三人と廊下を歩き出した。
「(しかし……)」
大好きなスマブラキャラ(しかもイケメン)に囲まれ内心では大喜びなのだが、私のせいで三人の貴重な時間を奪ってしまって申し訳ない。
突然あんな事を言って出ていったルフレもルフレだが、ルキナがあんな状態では仕方ないか。
考え込んでて大人しい私が気になったのか、突然リンクが「どうした?」と言いながら顔を覗き込んできた。
吃驚して思わず一歩退る。
「いやさ、三人共ごめんね…」
「ん?ああ、気にするな」
「きっちり案内しますよ!」
「…ルフレに任されたしな」
リンクとシュルクは爽やかに笑って、アイクはうっすらと口許に笑みを浮かべながら頭を撫でてくれた。
ルフレ達もだが、突然無茶ぶりされたのに本当に優しいな。
どのみち一人だと迷う自信があったので彼らの厚意を有り難く受け取り、笑顔で礼を述べた。
「そういえば、リノさんは何処まで案内されたんですか?それとも、どこか行きたい所とかは?」
「うーんと…行ったのは食堂と医務室と自室付近くらいかな。あっ、中庭あるって聞いたから行ってみたいなぁ」
「中庭か。今ならきっと子供たちが遊んでるから紹介もできそうだな」
私の言葉にリンクが頷く。
子供って事はトゥーンリンクとかネスが居るのだろう。
他にも誰か居たら良いなぁ、と思いながら私達は中庭へ向かって歩き出した。
私が来た経由等を話しつつ、数回曲がり角を曲がったり真っ直ぐ行った所で中庭に辿り着いた。
どうやらそんなに遠くなかった様だ。
中央には立派な大樹があり、周りには整えられた低木に休憩できそうな場所がいくつかある。
それに花も植えられているから、とても華やかだ。
「おーい!」
物珍しげにキョロキョロと辺りを見渡していると、リンクが大樹の方に向かって手を振って声を上げた。
よく見れば人影がいくつか見え、その中から5つの小さな影がこちらの方に近付いてきた。
「リンク兄ちゃん!」
「その女の子は?」
「今日から仲間になったリノだ」
「リノです、宜しくね」
近寄ってきた子供たちに、努めて笑顔で挨拶をする。
すると彼らは満面の笑みを返してくれた。
滅茶苦茶可愛い。
「リノ姉ちゃん宜しくねー!僕はトゥーンリンク!皆にはトゥーンって呼ばれてるよ!」
「僕はネス!宜しくね、リノお姉さん」
「ピッカー!」
「プリン!」
「ぽよー!」
「この3匹はピカチュウとプリンとカービィだよ」
人語を喋れない3匹の変わりにネスが名前を教えてくれた。
目線を合わせるようにしゃがんでから「宜しくね」と改めて言えば、3匹はピョイっと私に向かって飛び付いてきた。
驚いて固まっていれば、ピカチュウとカービィが肩に、腰にプリンが抱き付いて頬擦りしたり額を押し付けたりしてきたではないですか。
もしかして友好の証だろうか。
ちょっと重いけど、幸せ過ぎてどうでも良くなった。
可愛いは正義