会って間もない相手の前でお腹を鳴らしてしまうという、物凄い羞恥を味わってしまったリノです。
しかしこればかりはコントロール出来ない訳ですし。お腹のバカ!!!
二人はまだ少し笑っていたが、とりあえずお腹が空いているのなら…と、まず食堂へ連れていって貰うことになった。
ちなみにルキナの部屋は私の部屋の近くで、この辺りは女性の部屋が集まっているらしい。
通りであの広い廊下で偶然にも出会うことが出来たのか。
ルフレが居たのもルキナとお喋りしていたからだそうだ。
「それにしても嬉しいです。私、リノみたいな友達が欲しかったんです!」
「私みたいな?」
「こう…守ってあげたくなっちゃうような感じです!」
「ここの女性陣は勇ましいからね」
「まじか」
「特にゼルダやピーチは……あ、わからないか。とにかくこの二人が特に勇ましいんだ」
私程度でも守ってあげたくなるほどゼルダ姫やピーチ姫は勇ましいのか。
…あれ?彼女達っていつも敵に拐われてなかったっけ?
いや、ここはスマブラの世界だから仕方ない…と自分に言い聞かせる。
ここでは彼女達だって戦うのだ。そりゃ勇ましくもなるだろう。
元々あまり詳しくは知らないのであまり気にしないことにした。
「…戦うといえばまさか私も乱闘に放り出されたりはしないわよね?」
「リノはファイターではないんですか?」
「バリバリの一般人」
「乱闘に村人が居たような…」
そういえばそうだ。
まさかのどうぶつの森の村人がね、スマブラに来るとは。WiiFitトレーナーもかなり驚いたが。
…え、まさか放り出されたりしないよね?
「大丈夫ですよ」
「ルキナさん…」
「敵同士だろうと私が全力で守ってみせます!例えチーム戦で別々になったとしても、それで私の仲間がリノを狙うものなら問答無用で斬ります」
「仲間を斬るな!!!仲間を守れよ!!?」
そこまでして私を守る意味がわからん!!!どんだけ守りたいの!?!
逆に申し訳なさすぎて私の良心が傷付くんだけど!!
ルフレもなんとか言ってくれよと視線を送れば、彼はうーんと少し考えてから口を開いた。
「普通にリノさんの仲間だけを集中的に狙って倒せば良いと思うんだ」
「私の良心が痛みまくるわッ!!」
コイツもか…!!二人してとんでもない事を言ってくるんですけど!!
思わぬ二人の精神的な攻撃に頭を悩ませていると、ルフレが「ごめん冗談だよ」なんて言ってきた。
わざとかよ。
「それよりリノさんはどうして此処に?ファイターじゃないんだよね?」
「ちょっと事故にあったみたいで」
別に隠すことでもないし、私がこの世界に来た経由を話す。
ただゲームの所はカットさせてもらいましたが。色々と説明しなくちゃいけないだろうし、なんとなく気が引けたので…
二人とも私の話を真剣に聞いてくれたようで、特にルキナは話を終えるとぎゅっと手を握ってきた。
「リノ!!やっぱりリノは私がお守りします…!!」
「なんでそうなった。私の良心を削るだけの守りは遠慮します」
彼女は意地でも何か守りたいのか?子供でも守ってあげれば…いや、彼女が何かを守る=周りの人無差別殺傷事件が起きるかもしれん…
「なら僕が守ってあげようか?」
「いらない」
「即答だなんて酷いな。君に指一本触れさせないし、今なら毎晩添い寝つきだよ」
「えっ」
「あ、想像した?」
「しっ、してないし!!いらないから!!!」
毎晩美男子と添い寝とかちょっと良いなと一瞬考えてしまうが、ルフレが楽しそうこっちを見ているのに気付き頭を振る。
誘惑に負けるな…!!どう見ても彼は私をからかっている。
この二人のコンボ嫌だ…!!
痛くなってきた頭を抱えていれば、急に二人が立ち止まった。
「ここが食堂だよ」
どうやら二人と話しているうちに目的地に辿り着いたようだ。
なんだか疲れた