addio
21




「…雛乃さん。雲雀さんには、あなたしかいないんですよ」

「…私しか?」

眉を眇た私に、つなよし君はふっと優しい顔をした。

「はい。弱みを守るために、雲雀さんは誰よりも強くなりました。雲雀さんを強くしたのは間違いなくあなたなんです」

「……」

「あなたと出会ったから、雲雀さんに弱みができました。けれどあなたが側にいるから、雲雀さんは強くあれるんです」

「…強く」

「幸せだった過去は変えちゃいけない。…だから雛乃さん、幸せを作れるように、未来を変えましょう?」

「…未来を……」

「雛乃さんの勇気で、未来は変えられるんです。…大丈夫、みんなが応援してます」

「そっ、か。…うん、そうだね」

いつのまにか俯いていた顔を上げると、ふわりと優しく笑う綱吉くんがいた。ああ、やっぱり綱吉くんは、

「優しい、ね」

「はい?」

「なんでもないよ」

いつも迷惑かけてごめんね、私、いつかきっと綱吉くんみたいに強く…優しく、なるから。

そうしたらきっと…、言い訳なんてしないで、恭弥に真正面から向き合えるよね?…綱吉くん。

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