冬と言えばやっぱり、こたつにみかんだと思うわけで。
こたつに入り、正月番組を見ながら、丁寧にみかんの皮をむいた。
一粒とって、口に放り込む。
「あー、おいしい」
「お、いいもの食ってんな。俺にもちょーだい」
斜め前に座っている銀時が、あーんとばかりに口を開けた。
「やだ。まだあるんだから、そっち食べてよ」
これは私のと、もう一粒。
視界に入った銀時は、うらめしそうな顔でこちらを見ていたが知りません。
あー、やっぱり冬にこたつで食べるみかんはおいしー。
「ケチ」
「だから新しいの食べなよ!」
なんで私がケチ呼ばわりされなきゃならない。
まだいっぱいあるのに。
そう、再びみかんを口に運ぼうとした手を掴まれた。
そのままパクリと、みかんは指ごと銀時の口のなかへ。
一瞬思考が停止する。
「ちょっと何すんの!?」
慌てた私に気を良くしたのか、銀時はニヤリと笑う。
舌で器用に私の指を転がし、つつつと舐めあげた。
背中がゾクリとし、やめてと言おうとしたら、ガラリ。
ふすまが開いた。
大慌てで居住まいを正す。ばくばくと心臓がうるさい。
「銀ちゃん、ナマエ、ただいまー!あれ、ナマエどうしたアルか?顔が真っ赤アル」
定春の散歩から帰って来た神楽ちゃんが私の顔を覗き込んできた。
そのまま「寒かったアル」と言ってこたつに入り、すり寄ってくる。
神楽ちゃんの後ろには買い出しに行っていた新八君もいた。
「ただいま帰りました。わ、ナマエさん本当に顔が赤いですね。風邪でもひきましたか?って銀さんなんでそんなに不機嫌なんですか?」
新八君のことばに銀時の顔を見れば、子ども顔負けにむくれていた。
「邪魔されたからだよコノヤロー!痛っ!?」
「バカ!…あ、私なら大丈夫だから!ちょっとこたつが熱かったのかも!」
変なことを言い出す銀時を殴って弁解。
「?…そうですか」
不思議そうな顔をした新八君に続いて、何か勘づいたのか神楽ちゃんがニヤリと笑った。
「あー!さてはナマエ、銀ちゃんにいやらしいことされてたな!?」
「「ええ!?」」
新八君と一緒に思わず動揺してしまった。
そこで銀時がひとつため息。
「はいはいガキは知らなくていいんですぅ。取りあえず銀さんとナマエをもう一度二人きりにさせなさい!」
「黙れ変態!」
こたつとみかんと、おいしい冬
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