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いつの間にか私の頭のなかは、あいつでいっぱいで。
小さなことでも、あいつのことが気になってしまったり。
もはや、嫌になってくる。
やきもち
今日は、グリーンと一緒に勉強する約束をさせられた土曜日。
彼との待ち合わせ時間は昼間だったけれど、私は余裕をもって6時に起床した。
目が覚めて携帯を見ると、メールが1件入っていた。着信時刻は朝の5時、グリーンからのメール。
…5時?
私は違和感を感じながら、メールを開いた。
おはよ。
いま帰ったとこでさ
9時頃に起こして。
え、あ、そっか。昨夜は飲んでたのかな。
でもグリーン、昨日も車で学校来てた。飲んでた訳ではない、のかな…?
私は、胸がきゅうっと苦しくなる感覚に陥る。なんだろう、この嫌な感じ。グリーンが何してたって、私には関係ないじゃない。
私はそんなもやもやした気持ちを抱えながら、シャワーを浴びに行った。
シャワーの後に髪を乾かし、朝食を食べ終わったところで時計をみると、9時ちょっと過ぎ。私はまだもやもやとしていたけれど、グリーンに電話をすべく携帯を手にとった。
「…ん」
6コール目に、やっと彼が電話に出た、眠そうな声。
「9時だよ」
私はグリーンに今の時刻を告げる。
「…ああ」
彼はまだ寝ぼけているようで、思いきって訊いてみるなら今だと、私は自分を奮い立たせた。
「あんな時間まで、何してたの」
どんな答えが返ってくるのか、私はなんとも言えない気持ちで、彼の返事を待つ。
「えー…いろいろ」
ドキドキして待った割に彼の返答は適当で、私は勢い任せに更に踏み込んで訊いてみた。
「なにそれ、いやらしいんだ」
「まぁ、そんな感じ」
彼の返事に、私は息が詰まったような気がした。落ち込んだときのような感覚を味わう。
私は軽く傷付いたような気持ちで、電話を切った。
そしてそんな気持ちから脱け出せないまま、グリーンと向き合っている今に至る。
「なぁナマエ」
「なに」
しばらく黙って私たちは勉強をしていたのだが、グリーンが口を開いた。
「お前、イライラしてる?」
「そんなことない」
自分の素っ気なさ過ぎる返答は、イライラしてることをあまりにも如実に物語っていた。
(…ちょっと情けない)
「言ってみろよ」
グリーンの顔をチラッと見ると、彼は心配そうな表情をしてくれていた。
あんたの一言が
気にくわなかったの
私はそう言ってしまいたかったけれど、言えずに俯く。なんだか、自分が悲しいよ。
私は暫くだんまりを決めこんでいたけれど、悔しくなって、ポツリと言葉を口にした。
「つまみ食いする人、嫌い」
「?」
グリーンは一瞬きょとんとしたけれど、すぐに、納得したという表情に切り替わった。
(やっぱ頭の回転はやいな、なんて思った)
「たぶん勘違いしてるぜ」
オレが朝帰りだったのは、当直のバイトしてたから。
そう言ったグリーンはニヤリと笑う。
私は思わず目を見開いて、彼を見る。
なんだ、良かった
私は心の中にあったもやもやが溶けていくのを感じた。
(しかも私ったら、嬉しさまで感じちゃってる)
しかし、安堵の後には、一気に恥ずかしさが込み上げてきた。
勘違いしていて、しかも妬いてしまって、それで機嫌悪かっただとか、恥ずかし過ぎる…!
そしてその恥ずかしさに言い訳をするかのように、グリーンに対する不満が頭に浮かび上がってきた。
甘いのかと思えば、時に辛い(まぁ結局甘いんだけど)
優しくして、傷付けて、だけど傷の手当てはしてくれる
考えれば考えるほど、私の心はグリーンに振りまわされているよ。
「もう、
グリーンなんか嫌い」
私はたいして持ち合わせてもいない勇気を振り絞って、いっそグリーンを傷付けてやろうとした。
「わかった、わかった」
だけど、私が本気でグリーンを傷付けたいだなんて思ってないことはお見通しだ、とでも言うように、彼は私の暴言にびくともしなかった。
(これじゃぁ私が更に悔しい思いをしただけじゃん!)
「勘違いして妬いてたくせに」
グリーンはそう言いながら、にやにやと笑っていた。
(あなたは賢い策士さん、やられたり!)
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