スピカが告げる安息日




「ロイド、起きて。ロイド」

 柔く揺すってくる手がある。つと目を開けると、突っ伏したテーブルに薄い色素の髪が散っていた。どうりでいい匂いがすると思ったのだ。夢にも、出てきたけれど。
 ほんの少し悪戯心が湧いて、二の腕あたりに添えられていた手首を素早く掴む。そのまま引っ張ると、柔らかな髪が視界に広がった。

「なっ、なにするの!」
「……おはよう、エリィ」
「もう午後です!」

 肩に手をついて起き上がろうとする身体の腰を押し留めながら、頬に唇を寄せる。ただでさえ真っ赤だった肌が熱を持ち、間近にあった首筋や耳が痛々しいほどの色を持った。たったこれだけでこんなでは、後々どうなってしまうのだろう。血が巡り過ぎて、倒れてしまうんじゃないか。

「凄く良い夢を見てたんだ。……少しもったいなかったな、と思って」
「休憩が終わる15分前に起こしてって言ったのはあなたでしょう」
「うん。あぁ、エリィの夢だった」

 言葉を飲み込む音がして、強張っていた身体から力が抜ける。滑り落ちるのを追いかけるよう床に座り込むと、今度こそ彼女は腕を突っ張って、肩を押し返してきた。

「……ロイドは草食系男子だって、ティオちゃんが言ってたわ」
「あぁー……」

 そういえば、似たようなことをヨナにも言われていたなと思う。もっとも彼の場合、『装った』という言葉付きだったが。

「意味は聞いたのか?」
「……こと恋愛に関して、奥手な男の人のことだって」
「なんだ、だったら」

 ヨナの指摘が正しい。
 掴んだ手首は熱く、ここにまで赤が巡り初めていた。







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息抜きに書きました。ロイドはロールキャベツだと思います



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