※現パロ
下半身にずきりと広がる鈍い痛みに思わず顔が歪んだ。なぜ女の子はこんな痛みと毎月闘わなきゃいけないんだろうか。出来ることなら、神様を問いただしてやりたい。この1週間ばかりはお腹はもちろん、腰だって痛いし、妙に眠くなるし、苛々するしで、そりゃあもう授業なんか受けていられない。
現に私は学校に来て早々、保健室に退散した。もう何時間こうしてるだろうか。薬を飲んでベッドに横になってみても、痛みは容赦無く私を襲ってくるし、妙な違和感が未だにあって気持ちが悪い。
先生は随分と前にどこかに行ってしまったようで、保健室には人の気配が無い。汗なのか冷や汗なのかも分からない汗をかきながら、私は毛布の中に顔を埋める。カーテンが勢いよく開いたのはその瞬間だった。
「なまえちゃん生きてる?」
「わっ、」
「びっくりした?」
真っ赤な色をした瞳を輝かせながら、閻魔先輩は私の目の前に現れた。見たところ私がここにいることを知っていたらしい。閻魔先輩を見つめながら何度か瞬きを繰り返していると、閻魔先輩はさっきと同じ笑顔のまま、ぎゅう、と私の手を握った。
「え、閻魔せんぱ…」
「なまえちゃんが眠れるまで一緒にいてあげる」
きゅん、心臓がそう鳴いた気がした。いつも太子先輩とふざけてばかりなのに、こんな優しさを見せるなんて。お礼を言おうと口を開いたが、閻魔先輩が布団の中に侵入してきたことで、その口は違うことを紡ぐのに使われた。
「へっ、変態!」
「別にエッチなことしようとかそういうんじゃないからね!ただ、暖めてあげようかと思って、」
「後付けにしか聞こえなっ…!」
薬で大分治まってはいるが、まだ多少ある痛みが波となって私に襲いかかってくる。急に来た痛みに思わず息を飲むと、さっきから繋がれていた手がまたぎゅう、と握られる。
「…さすがの俺でも弱ってるなまえちゃんにそういうこと、できないよ。」
「ほら、だから大人しく寝なさい」とぽんぽん頭を撫でてくれる閻魔先輩がなんだかとても大人びて見えて(実際、年上なのだがいつもはどうしても子供っぽく見えるから)、さっきまで閻魔先輩を罵ろうとしていた私の口はすっかり公正したようで、「ありがとうございます、先輩」なんて素直に言ってのけた。どこからともなく吹いてくる生暖かい風が髪を優しく撫でる。まるで神様も頭を撫でてくれているみたいだなんて、沸騰しきった脳みそで思った。
やさしいかみさま
「……後で、セーラー服着てね」ぽつり、閻魔先輩が呟く。お前、それが目的か!
20110516 現パロなのにこのタイトル