数学が分からなすぎて、うんうんと唸っていたら後ろの席の石田に叩かれた。地味に痛い。ああもうやだこいつ。女の子みたいに細いのに(むしろ私よりも)、なんで力だけは普通の男並なんだ!ふざけんな、顔もそこらへんの女の子より綺麗な癖に!


「なんなのもう!」

「うるさい、気が散る」

「だって分かんないんだもん!」


半ば叫ぶようにそう言った。私は数学が苦手だ。だからと言ってサボらずにちゃんと授業を受けている私は自分で言うのもなんだが、偉いと思う。ちょっとくらい褒めてくれたっていいんじゃないか。なのになんだ、この仕打ち。


「お前の理解力の無さは救いようがないな」


石田はこんなものもわからないのか、みたいな顔でそういい放った。くそう。ムカつく。そんな性格だから友達少ないんだよ、石田は。ちょっとくらい可愛いところがあればいいのに。デレが足りないんだ。むしろ皆無。


「…石田も真田くんくらい可愛ければなあ」

「お前に可愛いなどと言われたくはない、それに幸村は男だ。」

「男の子でも可愛いんだからいいの!あ、そうだ、真田くんに教えてもらえばいいんだ!」

「……なんだと?」

「だって石田と違って真田くんは優しいし、かっこいいけど調子に乗ってないから好感持てるし、あと可愛いし!」


やっぱり数少ない友達だからなのかな。真田くん、という言葉に反応をした石田。占めた。ここぞとばかりに真田くんを褒めちぎる。これで石田がへこめばいいなんて性格の悪いことを思った。ほんの、ちょっとだけ。


「…お前は幸村が好きなのか、」

「は」

「それとも可愛いものが好きなのか、はっきりしろ!」


そう言ってまた叩いてくる。痛っ!さっきより強い!なぜか彼はへこむどころか、怒ってしまった。ほんとに石田は扱いづらい。


「なんで怒るの!てか痛いってば!」

「うるさい、…どこが分からぬのか早く言え」


は?よく理解できなかった。ぽかん。効果音をつけるとしたらまさにそれだろう。私は耳を疑った。


「い、今なんと…」

「何度も言わせるな、馬鹿が」

「それは教えてくれる、ってことですよね。石田くん、」

「俺の気が変わらぬ前に、早くノートを開け。」

「うわああ!石田がデレた!」


グッジョブ、ツンデレ。石田の頭をぐりぐりするとそっぽを向かれた。ああ、やばい、これがツンデレ萌えというやつか。なんというか、こう、きゅう、と胸が締め付けられる感じ。言うなれば、


「ドキがムネムネ。」

「くだらんことを言うな、また叩かれたいのか」


私の中で石田の好感度やらその他諸々が急上昇したわけだが、このことを誰にも教えるつもりにはならかった。石田に友達がいっぱいできたら嫌だし、彼女なんて以ての他だ。ちょっとした独占欲。やっぱり私は性格が悪い。嫌いな数学がちょっとだけ好きになった気がした。



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20110206 現パロおいしい


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