『家来募集中!』
春。入学式が終わり、新学期が始まる日。
今度こそはとでかでかと黒板に書いた文字は無情にもチャイムと共にケン王に消されてしまった。
「…誰も…いなかった…」
「だろうねぇ」
寧ろ来ると思ったの?
呆れたように見下ろしてくるレンを睨みあげたら頭を撫でられた。おいやめろどういうことだ。トキヤはトキヤで冗談だと思っていたんですがと哀れみにも似た目で俺を見ている。お前等人を馬鹿にしすぎだと思う嫌いだお前等なんて!
「何でだよまだ一人も家来できたことねぇよ!」
「それは普通だと思いますよ」
「確かにね」
「くっそー!ばかにしやがって!」
「ほらほら、早くお昼食べないと午後の授業遅れちゃうよ?」
「もがー!!」
どうしようもないことだろうか。今回来なかったら諦めようと決めてはいた。決めてはいたのだが本当に来ないなんて。いや、来ないかなぁとは…思って…いた…けど、まさか本当に。
家来が出来たらのイメトレは完璧なんだけどな。
「…よし」
「?どうしたの?」
「決めた!」
「何をです」
「帰り、帰りまでに来なかったらすっぱり諦める」
「…」
「…」
「何だよその目!その目をやめろ!!可哀想なものを見る目すんな!!」
「うん…来るといいね」
「頑張ってくださいね」
「微笑むなやめろ!!」
決めた決めた決めた。
男に二言はねぇ。帰りまでに来なかったらすっぱりきっぱり諦める。
アイドルになるためにここへ来たんだ。俺はアイドルの頂点になる男だ。いつか募集なんかしなくたって向こうから家来にしてくださいと来るだろう。
「やってやる!」
「うんうん」
「頭撫でんなレン!」