離れていても
「もしもしブチャラティ?」
「どうした?」
「なんか、寂しくなっちゃって。…もうずっと会えてないじゃあない?」
「…すまない、そうだな。まだ仕事の都合がつかないんだ。…悪いと思っている。」
電話越しに聞こえる、最愛の人の切なそうな声。
「いいのよ…仕事だもんね…仕方ないわ…。」
「そっちで辛い事はないか?」
「…ん、大丈夫よ。ブチャラティは?」
「俺か?そうだな、俺もそこそこ上手くやっているよ。」
電話越しに、少し溢れる微かな笑い声が聞こえる。ブチャラティが微笑む姿が目に浮かんだ。
辛い事。
それは、ブチャラティの姿が見れないこと。抱き会えないこと。その声を直接聞けないこと。キス出来ないこと。
でもそれを言っても、きっとブチャラティを困らせるだけだ。電話越しで悲しそうに謝るのだろう。
出来ることなら電話越しでも、会いたい。早く帰ってきて。寂しい。1人にしないで。
そう、泣き叫びたい。
でも、それをしないのは。
「…ゆき、そろそろ電話を切らなきゃあいけない。」
「もう、そんな時間?」
「あぁ、また明日も電話する。」
「…うん、待ってる。」
「ゆき。愛しているぜ。おやすみ。」
「…私も。愛してる。おやすみ、ブチャラティ。」
この"愛している"を聞くため。
あぁ、明日も耐えられる。
離れていても 距離なんか関係ない。たったひと言が私を繋ぐ
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