好きだから 1/6


俺とゆきは所謂恋人ってやつだ。

生活を共にするようになって、もうどれぐらい経つだろうか。


警戒深く、信頼した人にしか心を開かない俺とは正反対のゆきは、誰にでも愛想を振りまき笑顔を見せる。

俺には持ち合わせてない、そんなゆきの天真爛漫さに惹かれたのであるが。


最近、そんなゆきがヤケにブチャラティと仲良くしているのだ。


仕事中も常に一緒にいやがるし、飯の時だってそうだ。

さすがの俺も、ブチャラティの事は心から信用しているが、疑わざるを得ない状態になってきていた。


今日だってそうだ。


「アバッキオごめんね、ちょっと今日は用事があるから出かけてくるね!」

そうゆきは俺に告げ、昼過ぎに洒落づいて出掛けていきやがった。


ゆきが帰ってきたのは、夜中だった。


生活リズムが比較的バラバラな俺達は、お互い先に寝ているなんてよくある事で、今日も俺は先に寝室で横になっていた。

暫くして、風呂やいつも寝る前にしているスキンケアを終わらせゆきもベットに入ってくる。


「おやすみ、アバッキオ。」

そうゆきは呟いて、眠りについた。

俺はゆきに背中を向けており、返事は…返さなかった。

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