この熱が消えぬよう 1/3
出会った時から、この男はギャングであった。
もちろん私はギャングなんかとは、関わる事なんかなかったし、関わりたいとも思っていなかった。
だけど、出会ってしまったのだ。
ーーーブローノ・ブチャラティという男に。
瞬く間に、お互い惹かれ合い、情熱的に愛してしまったのだ。
友達にも散々「やめておけ」と言われた。
離れなければいけない。そう、思えば思うほど愛する気持ちは大きくなっていくばかり。
ずるずると、今日まで関係が続いているのだ。
「ゆき、そろそろ出かけよう。」
今日はブチャラティと、ネアポリスの夜景を見に行く約束をしている。
私は、このネアポリスの夜景が好きだった。
まるで私の悩みなど、ちっぽけに思えるから。
今ではこうして、ブチャラティと定期的に見に行くのが習慣になっているのだ。
「待って、ブチャラティ!」
慌ててコートを手に取り、既に家を出ようとしているブチャラティの元へと急いだ。