依存 1/2
見るからに高級そうなイス座る、ボスの右手に口づけを落とす。
満足そうにボスは、ゆきを見下ろし微笑む。
黄金の輝きを放っているボスはまるで神様の様で、ゆきは思わずその姿に見惚れる。
ボスはそのままゆきの手を掴み、神々しい領域である膝の上へと誘導した。
恥ずかしがる私をそのままに、ボスはまるで人形を扱うかのように髪を撫でた。
「僕の可愛いゆき。」
ゆきはそのままボスに身を委ね、ボスから与えられる心地良さに瞳を閉じた。
ゆきはイタリアパッショーネに所属するギャングである。
2年前、ネアポリスの街では麻薬が横行していた。
今でこそギャングになってはいるが、2年前まではゆきも重度の麻薬中毒者であった。
寒い冬の雪が降るネアポリスの路地裏で、道に寝そべり虚ろに彼方を見つめていたゆきをジョルノは偶然見つけた。
構うこと無く通り過ぎようとしたジョルノは、まるで吸い込まれるかのようにゆきの瞳を見た。
虚ろな目のゆきから、ジョルノは目が離せなかった。
そして無意識にジョルノはゆきを抱きかかえていたのだった。
ジョルノがゆきを組織へと連れ帰ったとき、彼の側近であるミスタはひどく驚いていた。
きっといきなり麻薬中毒で意識が朦朧としている人を連れて帰ってきたのであれば、誰だって驚くだろうが。
旧パッショーネの負の遺産である麻薬。
その麻薬をジョルノは排除していっているものの、未だゆきのような麻薬患者は一向に減らないのが現状であった。